短縮URLサービス | HATのブログ

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IT関係のニュースを中心に記事を掲載します。日経コンピュータで重要だと感じた記事とコメントを2010年9月1日号から書いています。
このブログは個人的なものです。ここで述べていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には一切の関係はありません。

Twitterのつぶやきが140文字までという制約があるため、長いURLを短縮するサービスがあります。そのサービスに10月からgoogle自身も乗り出してきました。なぜこのサービスが重要なのでしょうか。

昨年中ごろ、Twitterの標準短縮URLサービスは「TinyURL.com」でしたが、「bit.ly」に変更されました。そのためあっという間にシェアが逆転しました

その後TwitterはTwitter内だけで使えるt.coのサービスを開始しました。facebookもfb.meをやってます。そしてgoogleはgoo.glを正式公開しました。

短縮URLサービスは、これ以外にも数多くあります。ちょっと調べただけでこれだけ見つかりました。
5jp.net
s-url.jp 1cc.jp www.estyle.ne.jp
fw.iclub.to www3.to
mixi.bz
p.tl

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URLのカンマで区切られた最後の文字をトップレベルドメイン(TLD)といいます。.netと.jpはご存じででしょう。他は国コードTLDです。発展途上国は外貨獲得のためドメインを海外に売っています。ita.lyというサイトも実在します。

    .ly:リビア、    .co:コロンビア、  .to:トンガ王国、  .bz:ベリーズ(中央アメリカの国)、
    .tl:東ティモール、.me:モンテネグロ、.gl:グリーンランド(デンマーク)
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短縮URLの仕掛けは、IDと転送先との対照表を使って転送するだけです。htmlを使えば
 <head><meta http-equiv="refresh" content="URL=http://転送先.com/"></head>
と書くだけです。cgiやphpでも可能です。

従来からURLを簡素化するのに使われています。例えば、
http://www.jalan.net/330589 にアクセスすると瞬時にアドレスバーのURLが
http://www.jalan.net/jalan/jweb/yado/YADL_330589.HTML に変換されます。
じゃらんの宿番号さえわかればその宿のページに飛べるという機能です。

短縮URLの機能としてのポイントは3つあります。
1.短い事
 bit.lyとgoo.glを比較すると、bit.lyが6ケタ、goo.glが4桁です。
http://bit.ly/8ZwERe
http://goo.gl/VmZU

アルファベット26文字×大文字小文字2 + 数字10文字=62種類
bit.lyはそれの6乗ですから、約568億種類。goo.glは4乗ですから約1500万種類しか示せません。googleの事ですから足らなくなれば自動で5桁になるなど対応してるでしょう。いつ5桁になるかがある意味楽しみです。

2.ウィルスチェック機能
フィッシングやウィルスサイトを短縮されてしまうと、知らずに踏んでしまう危険性があります。両方ともチェック機能を持っていますので現時点では安心ですが、裏をかくサイトがすぐ現れるでしょう。いたちごっこの始まりです。

アクセスするまえに元のURLを見たいときは、URLの最後に"+"を付けると見れます。たとえば上に示したgoo.glのURLなら、http://goo.gl/VmZU+ とすればgoogle上で詳細ページを見る事が出来ます。http://goo.gl/info/VmZU としても同じです。bit.lyでもまったく同じ機能を持っています。

3.分析機能
いつ、どういう属性をもった端末からアクセスされたかの履歴を表示してくれる分析機能です。bit.lyにもgoo.glにもあります。ブログにはアクセス状況を見る機能がありますが、これを使うとメールがどの程度読まれているかを見る事が出来ます。


では、このサービスの提供者側のメリットはなんでしょうか。サービスページに広告が入ってるわけではありません。半分想像ですが、googleのメリットは恐らく全世界のアクセスの状況をリアルタイムに調べる事です。

今の検索エンジンは、静的なページを検索(クロール)して、相互リンクなどあくまで調査時点の情報からランクを決定しています。最近は、google検索画面を使用した情報も用いて検索される用語の分析なども行っていますが、全世界のトラフィックの中の極一部分です。

短縮URLが使われると、上の分析機能で書いた情報がgoogleの中に保存されます。どういう属性の端末がどういう時間帯にどういうサイトを見に行ったかという統計情報がgoogleの中に残ります。もし、androidスマートフォンのブラウザが自分がどういう機種かという情報までhtmlヘッダに残しているなら、IPアドレスから国名はほぼわかりますから世界中のandroid端末の分布状況などがgoogleには一目瞭然になります。

googleの目的は、世界中の情報を整理して届ける事です。その情報の中に、統計化されるとは言え我々の行動までが入ってくるのはすぐそこでしょう。