職場に流入する従業員の私物端末、企業の対応とのギャップ拡大

スマートフォンなどの私物の端末を職場に持ち込む従業員が増える一方で、企業のサポートやセキュリティ対策などの対応が追い付かない現状が浮き彫りになった。

» 2011年07月14日 07時29分 公開
[鈴木聖子,ITmedia]

 スマートフォンなどのコンシューマー向けモバイル端末や、Facebook、Twitterなどのソーシャルアプリケーションを職場で使う従業員が増えているにもかかわらず、IT部門の対応は後手に回り、両者のギャップは拡大している――。米Unisysが世界9カ国で実施した実態調査でそんな傾向が浮き彫りになった。

 調査はUnisysがIDCに委託して米欧など9カ国で、情報機器を使う従業員2660人とIT部門幹部560人を対象に実施した。

 それによると、従業員がビジネスアプリケーションへのアクセスに使っている端末のうち、私物の端末は40%を占め、前年の調査より10%増えた。

 仕事のためにFacebookやMySpaceなどのSNSを使っている従業員は、前年の8%から20%へと倍以上に増加。ブログやWiki、フォーラム、掲示板などの利用者は約50%、Twitterなどのマイクロブログツール利用者は13%に上り、いずれも前年より増えている。「ノートPC、スマートフォン、タブレットなどのモバイル端末は仕事のために不可欠」とする回答は53%に上った。

 一方、IT幹部を対象とした調査では4分の3が、「私物の端末利用を認める企業のポリシーは従業員の士気を高める」との認識を示し、「コンシューマー端末を職場に持ち込む従業員の方が生産性が高い」との回答は72%に上った。

 しかし、こうしたコンシューマー端末やアプリケーションの職場でのサポート状況について自己採点してもらった結果、5段階評価で平均点は2.9と低い評価にとどまった。私物の端末に関する相談も増え、IT幹部の80%は「IT部門の負担が増している」と答えている。

 職場での私物端末利用を認めるうえでの障壁は「セキュリティ不安」(83%)、「SNSからのウイルス」(56%)を挙げる声が多かった。その一方で、ソーシャルメディア利用のガイドライン策定、従業員の研修義務付け、複雑なパスワード、シングルサインオンといったセキュリティ対策を実施しているIT管理者は、軒並み前年より減少していた。

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