上昇率は京都1位、大阪2位 基準地価、ホテルが商業地けん引
関西2府4県が19日発表した7月1日時点の基準地価は、京都府の商業地の平均上昇率が5.7%と全都道府県の1位だった。2015年から2年連続で1位だった大阪府の上昇率は5.0%と2位。マンションの勢いが鈍る一方、ホテルなど宿泊施設の建設が進み、上昇地点が中心部から周辺部へ広がった。住宅地は人口減などが響き、大阪以外の府県が下落した。
商業地は京都府の上昇率が16年の3.3%を上回りバブル崩壊後で最高だった。上昇は4年連続。京都市伏見区の伏見稲荷大社に近い地点は全国最高の29.6%。伏見稲荷大社は旅行口コミサイトの外国人の人気観光スポットで首位。周辺ではインバウンド(訪日外国人)を見込んだ飲食店や土産店の出店が進む。
全国の上昇率上位10地点のうち5地点が京都だった。以前はマンション開発が活発だったが、収益性に注目したホテル開発業者がさらに高い価格で落札して「マンション開発事業者が競り負けるケースが増えた」(不動産鑑定士の森口匠氏)。
大阪府は5年連続で上昇し、上昇率は16年の4.7%を上回った。ミナミの大阪市中央区宗右衛門町の商業施設「クリサス心斎橋」の上昇率が29.1%と全国2位。地価はキタのJR大阪駅前の大型複合施設「グランフロント大阪南館」が1平方メートル1460万円と府内で最高だが、クリサス心斎橋(1420万円)との差は16年の220万円から40万円に縮まった。
不動産サービスを手掛けるジョーンズラングラサール関西支社の秋山祐子氏は「両地点が将来逆転するかが注目される」と指摘。ミナミについては「世界の主要都市に比べて収益性が高く、世界から投資マネーが流入している」と分析する。
10年ぶりにプラスとなったのは兵庫県。再開発への期待感から中心部の三宮地区で上昇が目立った。奈良県も9年ぶりに上昇。東大寺や奈良公園を訪れる観光客でにぎわう近鉄奈良駅周辺の人気が高い。滋賀県は4年連続でプラス。和歌山県は26年連続で下落した。
住宅地は大阪府が4年連続で横ばいだった。大阪市北区や福島区が上昇する一方、堺市を除く府南部と府東部は下落傾向だ。京都府は10年連続の下落。府北部と南部の値下がりが目立つ。
兵庫県は9年連続で下落した。上昇地点は16年3月のJR摩耶駅開業で利便性が向上した神戸市灘区などにとどまった。滋賀県は9年連続の下落だが、京阪神へのアクセスが良い草津、守山、野洲の県南部3市がプラスだった。奈良県は9年連続、和歌山県は27年連続で下落した。