できることはほぼ一緒、しかし使い方は激変「iPad 2」


横向きに持ったところ。重量は600g超で片手で持つには重いが、初代iPadに比べると違いは歴然

 ようやく日本での発売が開始されたiPad 2。当初は国内での発売までしばらく待っているつもりだったが、震災の影響もあり日本での発売が延期となったため、筆者は海外から直接購入することにした。購入したのは64GBのWi-Fiモデル、カラーはブラック。手元に到着したのは4月の第1週だったので、4月28日に国内で発売になるまでのおよそ1カ月間、先行して試用する機会を得たことになる。

 さて、このiPad 2、見た目は従来モデルに比べて大きく進化した箇所はあまりないと感じた。目立つところではせいぜいカメラが追加されたくらいで、メモリカードスロットは搭載されず、昨今のAndroid 3.0端末の多くに装備されているHDMIの出力端子もない。ディスプレイの解像度も従来のままだ。内部的には、CPUがデュアルコアに進化しているが、どちらかというとボディの厚みの違い(薄くなった)が目立つくらいで、果たして本当に買い替える必要があるのか、疑問に思っている人もいるはずだ。

 しかし、である。1カ月間使用したうえでの感想を言うと、このボディの厚みの違いだけで、買い替える意義は十分すぎるくらいあると感じる。iPad 2の厚みは8.8mm。初代のiPadが13.4mmだったので、およそ2/3になった計算だが、従来のぼってりとしたボディからおよそ5mm薄くなっていることで、手に持った時の印象はまるで別のデバイスかと錯覚するほどだ。当面は併用するつもりだった初代iPadは、iPad 2の購入以降、厚ぼったいイメージからまったく使わなくなってしまったほどだ。それくらい違う。

 また、薄くなったことで可搬性も高くなり、外出時に持ちだしやすくなるなど、スレートデバイスとしての使い方にも変化を及ぼしている。筆者個人はこれまで外出時にはノートPCとiPadを比較検討してノートPCだけを持ち出すことが多かったのだが、まとめてバッグに入れても膨らまなくなったことで、最近はノートPCとiPad 2の両方を持ち出すことが増えている。「ハードウェアができること」はほぼ変化していないにもかかわらず、使い方がここまで変わるとは、さすがに購入前には考えられなかった。

 したがって本製品を買うか否かは、このような薄型化がもたらす恩恵にどこまでコストを払うかといった、ユーザー体験への投資の是非次第だと思う。「厚みが違うだけでここまで使い方が変わるんですよ」という点を体感したければ文句なく買いだが、機能が変わらなければ使い勝手はまあまあ我慢するといった考え方もあるだろう。こればかりは個人の価値観に左右されるので、一概には言えない。

 筆者から、ひとつだけ確実に言えることは、これから新しく買うのであれば、初代ではなくiPad 2を選ぶべきだということ。というのも、いったんiPad 2を使うようになると、初代iPadや、同等の厚みを持つ他のスレートデバイスに戻るのは至難の業だからだ。もとより本製品を購入する予定がない人は、うっかり店頭で本製品を長時間触ってしまわないよう、注意を払ったほうがよいと個人的に思う。

縦向きに持ったところ。画面の向きをロックするサイドボタンは、音量ミュートに割り当てることも可能初代iPad(右)と並べたところ。初代にみられた背面の湾曲した部分がまるまるそぎ落とされた形。側面の処理も異なる
同じく初代iPad(右)と並べたところ。厚みの違いがよくわかる背面上方。カメラはこの背面だけでなく前面にも搭載している。上部は電源ボタン
背面は完全にフラットになっているため、初代iPadに比べると安定感は高い

 

製品名製造元購入価格
iPad 2(Wi-Fiモデル 64GB)Apple6万800円

 

(山口 真弘)

2011/5/12 06:00