14bladesひっさげて『処刑剣』

アジアン映画をあれこれ観て、その面白さに今さらながら気付き、順次観ていってるのですが、リアルタイムでドニー・イェン主演作が公開されるからには、劇場で観なければ、いうことで出かけましたよ。
先日『セブンソード』を観たんで、そういう神剣的な要素もあるのかな、と思ってましたが、剣自体の神格化はなかったです。ドニーさん演じる青龍は、明王朝を陰から支えた秘密警察組織「錦衣衛」の指揮官に任じられているがゆえ、特別な仕様の剣を持つことを許された別格の男、という位置づけでした。策略にはめられた青龍は、傷を負いながらも、錦衣衛の指揮官である自分の尊厳を失いたくないために、敵方(大ボスはサモ・ハン)に奪われた玉璽を取り戻すべく、追跡を開始する…(細かいあらすじは下のリンクをどうぞ)
ヴィッキー・チャオの大きい目とうすい唇(菅野美穂ぽい)のかわいらしさが存分に堪能できます。中盤はほぼドニーさんとヴィッキーの二人のシーンで、ほんわりした恋の思いが静かにお互いに深まっていく様子が安定した(ある種ステレイタイプ)描写で進みます。ツンデレなヴィッキーに惚れない男はいないわな。ちょっと男勝りなところがあって、虚勢を張ってるけれど、青龍への思いを募らせ、許婚の存在をちらつかせて、ちょっと気持ちをこちらに向けようとするも、「許婚のとこに行きなされ」と言われてしょぼんとしたり…うぅ、かわいい。ヴィッキーに「勝手に俺の傍を離れるな」といって腕掴んだりして…うわー。そんな甘いパートがあってこそのバトルシーンの対比が効いてくるわけだ。
14本の剣は木製のハコに収納されていて、青龍はハコを背負って敵を追う。剣については、接近戦ならコレ、とか、こんなアタックにはこれ、みたいな役割がとくには無いんですよね。ケレン味をもたせた使い方をするのかな、と思ってた自分の期待はあっさり肩透かしをくらったのです;少年マンガみたいに、剣についての口上をうやうやしく述べてからバトル、というような登場の仕方を想定してたところがあったので。ただ、面白かったのは飛び道具。アニメで歯車がギュンギュン回る機械仕掛けを見せといて、ほら、こんなふうになってるんだからね、すごそうでしょ!みたいなケレン味。そのCGのテキトー感とかもあわせて、おもしろかった。で、なぜか『必殺!』シリーズを思い出しました。大仰ぽい機械仕掛けを使用して人を殺めるっていう。そんな周辺小道具は、ドニーさんを際立たせるためのものです。安定の恋要素、ちょっと珍し目の小道具、サモ・ハン演じる敵の放った最強の刺客キャラ:西域の異国風の女(メデューサ的なエッセンスが入ってる感じ)。敵キャラやバトルについては、なんか『西遊記』(マチャアキのTVシリーズの方の)を思い起こしたな。この世あらざる感じのメイクとか衣装が、砂漠とマッチしておりました。あと、ドニーさんのいい筋肉を拝める場面があって、かなり堪能できました。ええ。あと、木枯らし的に植物を咥えて出てくるショットの完璧なかっこよさったら、映画館の暗闇のなか思わず小声で「かっこえぇ」といいましたよ。はい。
眉間にしわをよせ、苦悩する青龍。錦衣衛の中で弟のように接してきた者からの裏切り、仲間を失った悲しみ、自分の職務と尊厳、ヴィッキー演じる娘への思い。苦悩しつつ、最後、命を賭けた闘いに臨む。そうして彼は、全うするわけです。真っ白に燃え尽きたよ…。ラストよかったですよ、満足満足。
サモ・ハンの登場時間がえぇっと思うほど少なかったり(もうちょっと欲しかった)、砂漠の判事の使われ方が脚本的にちょいムリがあったり(や、でもウーズンはアクション頑張ってた。足技がかっけぇ)、辻褄とか、脚本のここ弱いとか言い始めたらそりゃいろいろ出てくるだろうけど、中国のロケーションやオープンセットで展開されるアクションも存分に楽しめるし、スクリーンで観られてよかったですよ。さぁ、ドニーさんの旧作も観なきゃね。そして『武侠』がたいそう楽しみなんです。早く観たいなー、観たい観たい、相当先になるだろうけどね…
『処刑剣 14BLADES』(2010/中国)監督:ダニエル・リー 出演:ドニー・イェンヴィッキー・チャオ、ウーズン、サモ・ハン
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD18089/
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http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20110530/1306672092