松屋、牛丼に豪州のコメ 国産高で試験導入
牛丼大手の松屋フーズはオーストラリア産のコメを使用する方針を固めた。商社経由で豪州産玄米を調達、今春にも試験的に導入する見通し。すかいらーくも輸入米を使用する検討に入った。大手外食チェーンが店舗で提供する白米はいずれも国産だが、国産米の価格は東日本大震災後に高止まりしており、外食企業には収益圧迫要因。外食大手が使用に踏み切れば、割安な輸入米を求める動きが加速しそうだ。
政府は輸入米に高い関税率を課す代わりに、ミニマムアクセス(最低輸入量、MA)を設けて海外からコメを77万トン輸入している。MA米を希望する企業は入札で購入する。2011年度分の主食用(10万トン)については需要が旺盛で完売した。松屋は使用する年間約2万トンのコメに対し、4千トン以上の豪州産玄米(主食用)を確保するとみられる。これを自社工場で精米し、店舗で「牛めし」などに使う。
北海道産や青森県産などが多い外食店向けの玄米の卸価格は現在、1キロ250円前後。昨年同時期の10年産に比べて約2割値上がりしている。一方、政府の入札を通じた豪州産玄米の調達価格は同200円と国産よりも2割ほど安い。
牛丼チェーンの価格競争は激しく、同社は1月に「牛めし」の通常価格を並盛りで280円と従来より40円値下げ。これまで外食大手は輸入米について消費者の反応が読めず、使用するケースはまれだったが、今回は利益維持のため、使用が必要と判断したようだ。
ファミリーレストラン最大手のすかいらーくは米国産や中国産のコメを使う検討に入った。すでに試食に着手し、試食した輸入米は品質には問題がないという。「国産米価格の一段の上昇などがあれば、輸入米を使用する可能性はある」(谷真社長)
政府は環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の参加に向けた事前協議に入った。「現在は輸入米の使用は考えていないが、TPP(でコメの関税)がどうなるかで再考の余地はある」(サイゼリヤの堀埜一成社長)との声もあり、TPP交渉の行方次第では輸入米の使用が広がる可能性もある。
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