泥沼のギリシャ、スペインから金蔓にされながら逆恨みされるドイツ国民の憂鬱

ついにメルケル首相もお手上げモード?〔PHOTO〕gettyimages

 6月17日、ギリシャの運命が決まる。この選挙で本当に急進左翼のSyrizaが勝てば、ギリシャのユーロ圏離脱がほぼ確実になる。Syrizaは、自分たちが政権を取ったなら、今までの借金はすべて踏み倒すと息巻いている。また、今後、緊縮政策や改革についての文書には一切署名しないとも。ただ、ユーロ圏には残りたい意向。

 しかし、そうはいかないだろう。規則を守らなければ、メンバーから外れなければいけないのは自明の理。それでも多くの国民はSyrizuを支持しているらしいから、ギリシャ国民の決意は固い?

 さて、ギリシャがユーロ圏を離脱すればどうなるか? この1、2年、地獄のようなシナリオが語られ続けてきた。だから、それを防ぐために何が何でもギリシャを守らねばならなかったはずなのに、今、俄かに空気が変わっている。「ここまで説得してもギリシャ国民がユーロ圏離脱を望むのなら、それはやむを得ない」というふうになってきたのだ。ひょっとすると、ギリシャが離脱しても、他の国には被害が及ばないような対策が、急速に整いつつあるのかもしれない。

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 イギリスで、ギリシャの旧通貨であったドラクマの印刷の用意が進んでいるという噂もある。本当にギリシャがユーロを離れれば、おそらく政府には新紙幣印刷の余裕はなく、クーポン券のようなもので代替する可能性がある。そうなると、国民が勝手に偽クーポンを印刷するだろうから、混乱がさらに深まる。それなら、まともなお札の印刷だけでもお手伝いしましょう、ということか? 

それでもSyrizuを選ぶのか?

 とはいえ、どうすれば、ユーロをドラクマに切り替えられるのかが、よくわからない。これは日本に置き換えれば、鹿児島が円の経済圏から離れ、通貨をシロクマに変えるというのと同じだ。シロクマは円よりも格段弱い通貨になるはずだ。だから、私だったら、銀行が機能しているうちに慌てて円を下ろし、県境が閉鎖されないうちに慌てて県外へ出て、信用できそうな親戚か友人に円を預かってもらうだろう。たいていのギリシャ人も、おそらくすでにそうしているはずだ。

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