「モバゲー」に立ち入り検査 グリーと契約するなと圧力か
公取委、独禁法違反疑いで
携帯電話向け交流サイト(SNS)「モバゲータウン」を運営するディー・エヌ・エー(DeNA)が、ライバル会社との取引をやめるよう取引先のソフト開発会社などに圧力をかけた疑いがあるとして、公正取引委員会は8日、独占禁止法違反(不公正な取引方法)容疑で東京都渋谷区の同社本社を立ち入り検査した。
関係者によると、DeNAは今年夏ごろから、「モバゲータウン」向けに同社と契約したり、契約を検討している複数の携帯ゲーム開発業者に対し、同じ携帯ゲーム業界のライバル会社であるグリーとの契約を結ばないよう働きかけたり、自社と契約するよう強要したりした疑いがある。
こうした取引先業者の販売先を制限し、競争を妨害する行為は独禁法で禁じられている「拘束条件付き取引」にあたる可能性があり、公取委はDeNA関係者などから事情を聴き、事実関係の調査を進めるとみられる。
DeNAは昨年、「プラットフォーム」と呼ばれるモバゲータウンの開発仕様を外部企業に公開。開発会社側に技術的なノウハウなどを提供し、SNS会員間で遊べるゲーム開発を業者に促す代わりに、ゲーム内での課金の一部で収入を得る仕組みを構築した。
一方、グリーも今年から同じようにSNS「GREE」の開発仕様を公開し、開発競争が激化している。
民間調査会社によると、友人同士が交流しながら楽しむ携帯やインターネットのソーシャルゲーム(交流型ゲーム)の2009年度の国内市場規模は前年度比7.5倍の338億円に拡大。今年度は数百億円程度で、11年度には1千億円を突破する見通し。
DeNAは「公取委の調査に協力しているが、現段階では調査中のためコメントは差し控えたい」としている。