ロック歌手内田裕也(69+2)が6日、宮城県石巻市に入り、被災者を勇気づけた。この日午前5時に東京を出発し、約6時間かけ現地に到着。ロックにちなんでバナナ690本にみかん690個、持ち込んだ移動式ピザ車で焼きたてのピザとスープを集まった約200人に振る舞った。ハンドマイクを握っての即席ライブも披露した。

 内田にとって初めての被災地入り。石巻を選んだのは「死者や行方不明者など最も被害が大きいところ。真っ先にここに来るべきだと思った」という。また「石巻は、英語で言えばロックンロール。何か縁を感じた」。津波の爪あとを目の当たりにして「ただあぜんとした。とても信じられない光景だった」と話した。

 内田はロック界の大御所として、震災後、いち早く動いていた。東京や大阪などで街頭に立ち募金活動。被災者たちへの継続的な支援のため「内田裕也HELP!

 基金」も立ち上げた。関係者によると「自分たちの足と歌で集めた善意は、自分たちの足と歌で届けたい」という本人の希望から、この日の被災地入りとなったという。

 会場ではジョン・レノンの楽曲「パワー・トゥ・ザ・ピープル」などを演奏。歌声に合わせ、一緒に踊る被災者の姿もあった。内田は「今まで何千回もステージをやってきたが、一生忘れられないステージになった。東北の人はパワーを持っている。必ず再興できる」と力を込め、最後は「頑張れ石巻!

 ロックンロール」と締めくくった。【石井康夫】