加熱済み宇宙食4691パック

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鳥山明のパチンコに関するコピペ

ショートバージョン

鳥山明 「この前もパチンコ会社からドラゴンボールで作らせてくれってきましたよ(笑)でも、きっぱりと断りました」


─なぜですか?


鳥山明 「私は自分のキャラクターが、パチンコという大人の賭博に使われるのが我慢ならないんですよ。
漫画を大人の賭博に使って、お金のために誇りを捨てる人たちがたくさんいる」


─たとえば誰ですか?


鳥山明 「誰でしょう?(笑)たくさんいるじゃないですか。私は絶対に、パチンコに作品を売ったりしませんよ。
だってそうでしょう、自分の子どもを賭博屋に売る人間がいますか?」

ロングバージョン

確認できるのは「寺田克也全部―寺田克也全仕事集―」収録の鼎談だな。
424頁中段から。
捏造とか抜かしてたマヌケは今すぐ買って十回読め。
以下抜粋。


鳥山「こないだも某パチンコ会社から来たんですよ。ドラゴンボールでパチンコ台作らせてくれって。
 まあその場は忙しいって切って、後日担当を通じてキッパリと(笑」


寺田「断るの苦手ですもんね、鳥山さん。」


鳥山「勘弁してくれよというね。やっぱりイヤじゃないですか。
 子供たちのために、ためにって言ったら押し付けがましいんですが、
 そういうキャラクターが、パチンコはねえだろっていうね。」


―やはり抵抗が?


鳥山「そりゃそうでしょ。自分の子供をサ(検閲)売るみたいなもんじゃない。」


寺田「さらりと危ない発言が(笑)。でも本当そうですよね。
 まあ俺なんかそのサ(検閲)を楽しんでるんですけども(苦笑」


この本は他にも金子一馬との対談とか載っててえらく豪華なんだが
なぜか「ペインタボン!」の大友克洋対談ばかり取り沙汰されるんだよな。
買うのがそういう層だってことか・・・。

ちなみに文脈は


鳥「寺田くん、競輪とか行く?」
寺「賭け事はちょっと。パチンコくらいですかね。今ってルパン3世のタイアップとかしてるんですよ。」
鳥「ああ、なるほど。」
―先生の作品もいつかパチンコになるかも・・・。
鳥「いやいや、それはありません!これは断言します。」
寺「おお、なんでまた。」


という流れ。
99年当時はタイアップ機があまりなかったことに注意。


鳥山明がパチンコ化を許可しない理由として上げられているコピペ。最初に出回ったショートバージョンは、出典も書かれていないので程なく信用されなくなる。で、その後に出回ったロングバージョンは、

  1. 寺田克也全部」という具体的な書名が添えられている
  2. 424ページという具体的なページ数
  3. 金子一馬大友克洋との対談もある」という周辺情報


と如何にもそれっぽい情報だが、「現物を見て確認しよう」の精神で3000円で購入したところ

  1. この本は全部で300ページなので424ページは存在しない
  2. この本に鳥山明金子一馬大友克洋との対談、鼎談の類は全く無い。


と、上記の「ロングバージョン」は全くのデタラメであった。ただ84ページに載っている「大東京物語」(初出:世界文化社「Begin」)に鳥山明寺田克也を描いたイラストがある。そこにかかれてる内容というと

ひたすら"白いモールトン"*1を見せびらかす怖れを知らない寺田サル


"このガキ自慢ばっかで壊したろかなワシ"とにこやかに、しかし心の中では思ってる鳥山明さん



寺田克也全部」で鳥山明が関係しているのはこの84頁のみ


パチンコとは何の関係も無い一場面にすぎない。こういうコピペは「パチンコ反対派って他人の発言を捏造するんだな」と思わせるだけなので非常に有害。

補記、訂正

  • 大友克洋の対談は「ペインタボン!」(寺田克也)での話だった。こっちは本当に対談アリ。

寺田克也全部 寺田克也全仕事集

寺田克也全部 寺田克也全仕事集

ペインタボン!

ペインタボン!

*1:自転車