ジェフリー・ディーヴァー日本滞在記(その1)


 リンカーン・ライム・シリーズなどのベストセラー作家、ジェフリー・ディーヴァー氏来日! 今回は番外編として、アテンドした担当編集者による滞在記をお伝えします。池田真紀子さんからのレポートは、また回を改めまして。


 DAY ONE:11月6日(土)
 ジェフリー・ディーヴァーさんがやってくる! これまでのメールのやりとりから、「絶対いいひと!」という確信はあったものの、やはり緊張。そんな状態で氏が降り立つ成田空港へ向かう。


 定刻より早くディーヴァーさんを載せた便は到着。到着ゲートでお迎えし、成田エクスプレスにて東京駅へ。車内で滞在中のスケジュールについてご説明する。取材がびっちりで大変かと思いますけど、と言うと、「全然。だってそのために来てるんだから」と朗らかな答えが。「日本の食べ物は大好きなんだ。I love Sushi, Sashimi, Sake and Udon!」


 東京駅からタクシーでホテルへ着くと、「時差ぼけには寝るのがいちばん。それにジェイムズ・ボンドを書かなくちゃいけないから」とおっしゃって部屋に。既報のとおり、ディーヴァーさんはイアン・フレミング財団のご指名で、ジェイムズ・“007”・ボンドを主人公とした長篇小説を来年春に英米で出版の予定なのです。


 DAY TWO:11月7日(日)
 東京案内が要ったら一報ください、打ち合わせもしなきゃですし、とお伝えしたところ、お昼前に連絡が入り、「ギンザに行ってみたい、ガールフレンドへのお土産も買っておきたいので」ということで銀座へ。四丁目の交差点からスタート、中央通りを一丁目の方向へ歩き、木村屋に一瞬はいりかけるも人混みに負けて即時撤退、トラヤ帽子店の前では「日本ではあまり帽子をかぶったひとがいないね」と呟く。ホテル西洋銀座が見えてきたあたりでUターン。「調理用具を見たいんだ。わたしは料理が好きでね、スシもつくるよ!」とおっしゃるので松屋に。


 キッチンウェアのフロアに入るや食器には見向きもせず調理用具を端からチェック。ヘンケル製の和包丁のショーケースに見入るディーヴァーさん。「でもそれヘンケルだからドイツ製じゃ」とぼくが口走ると、背後にいた店員さんから「それ日本の工場でつくっているのでメイド・イン・ジャパンです!大丈夫です!」とツッコミが。
 ディーヴァーさん、「ブルガリで土産を買うよりよほどいい」と小出刃包丁を購入。ほかにはお箸、日本酒用に枡を2個、などをお買い上げ。巻き寿司用の巻き簾はお持ちだそうです。箸を選ぶディーヴァーさんに「塗り箸はすべりやすくて日本人でもしんどいので要注意です」と言うと、「箸は伯父の影響で10代のときから使ってるのさ(キリッ」。と言いつつ、「先がザラザラしたやつがいいってことだよね?」と真剣に選んでらっしゃいました。大ベストセラー作家なのに、値札をガン見して「この箸はちょっと高価いな」と呟く姿に萌えたことを告白します。
 ちなみに後日の寿司屋で、「ほらご覧」と、イクラを一粒、見事に箸でつまみあげてみせてくれました。できない日本人、絶対いると思う。


 次いで「食料品売り場を見てみたい」とのことで三越の地下へ。結構な混雑のなかを端から端まで見て回る。「ステーキ1枚で100ドル?! これはコービィ・ビーフか?」と問われる。あちらでは「和牛=神戸牛」というのが定着してるんですよね。ほかにディーヴァーさんが関心を示したのは、しらす干し、海藻サラダ(乾燥したやつ)、ハチミツ専門店、味噌屋、そしてもちろん鮮魚。「スシをつくりはするんだけど、米がちがうから日本のスシには勝てないんだ。かといって米は買っていけないしなあ」というぼやきも。


 最後に鳩居堂へ。氏の伯父さんは墨絵(!)をやっていたんだそうな。箸の使い方を知ったのも、この伯父さんからだそうです。


 この日もディーヴァーさんは「ジェイムズ・ボンド書かなきゃ」と言い残してお帰りに。


 DAY THREE:11月8日(月)
 プロモーション活動開始。午前中は新聞社のインタビュー。午後はNHK−BSの「週刊ブックレビュー」にて児玉清さんによるインタビューを撮影。首尾は上々で、「ミスター・コダマが本当によく読んでくださっているのがわかって、とてもいいインタビューだった」とディーヴァーさんはおっしゃっていました。


 前日、銀座の人通りを見ながら、「いわゆる『TOKYO POP』みたいな若いひとたちはどこにいるんだい?」と知りたがってらしたので、NHKから渋谷駅までセンター街を経由して散歩。海外での「日本の若者」のイメージは時代的にズレているから、ディーヴァーさんの期待するような若者はあまり発見できず。でも、「金髪の若者がふたりいた!」と喜んでおられました。ところで「TOKYO POP」はセンター街な感じ(過激なファッション)と秋葉原な感じ(ハイテク&アニメ)が入り混じったイメージなので、本当は渋谷だけじゃダメなんですよね。そのへんはのちにディーヴァーさんも知ることになります。


 渋谷でディーヴァーさんが見たかったもうひとつのものが、TSUTAYA前のスクランブル交差点。なぜかというとディーヴァーさん、映画『ワイルドスピード×3 TOKYO DRIFT』が結構好きで、「あの映画で車ががーっとドリフトするシーンがあったよね? あれはどこ?」――東急本店のほうから猛スピードで降りてきた車2台がTSUTAYAの前でドリフトして公園通りへ抜けていくシーンがあるんです。なのでハチ公あたりまで行って振り返り、ディーヴァーさんはあの交差点を撮影。


 そこからタクシーでホテルへ。「東京はいろんな文化や町が集まったメルティング・ポットだね。ちょっと行くと雰囲気ががらっと変わる。ロンドンやニューヨークが何個分か詰まっている気がする」と車中でぽつりと。


 この日は時差ぼけのせいもあってお疲れ気味。ディナーをご一緒することもなく早々にお部屋に戻られました。あしたは寿司でディナーはどうですか?と訊くと、すごい勢いで一瞬、目に生気が戻り、「それはいいねっ!」とおっしゃっていました。


文藝春秋翻訳出版部 永嶋俊一郎


*滞在記「その2」は本日午後に。

ロードサイド・クロス

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Edge: A Novel

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007/カジノ・ロワイヤル 【新版】 (創元推理文庫)

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007/ハイタイム・トゥ・キル (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

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NHK−BS「週刊ブックレビュー」の「ジェフリー・ディーヴァー最新作を語る」はこちら↓
http://www.nhk.or.jp/book/prog/index.html

EXCITE REVIEWの〈独占公開!ジェフリー・ディーヴァー初来日記念講演録 part1 〉はこちら↓
http://www.excite.co.jp/News/reviewbook/20101117/E1289938110846.html

〈独占公開!ジェフリー・ディーヴァー初来日記念講演録 part2〉はこちら↓
http://www.excite.co.jp/News/reviewbook/20101118/E1290019578937.html

〈独占公開!ジェフリー・ディーヴァー初来日記念講演録 part3〉はこちら↓
http://www.excite.co.jp/News/reviewbook/20101119/E1290099947239.html