書評「雲居、お酒やめるってよ」
作者:雲海 さん
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仏教には「五戒」という、信者が守るべき物事があります。
・不殺生戒:生き物を殺してはいけない
・不偸盗戒:他人のものを盗んではいけない
・不邪淫戒:乱れた性行為を行ってはならない
・不妄語戒:嘘をついてはいけない
・不飲酒戒:酒を飲んではいけない
当然、命蓮寺でも五戒は守られているはずです。
……はずなのですが、ここは幻想郷。
年がら年中、宴会を開き、酒を飲み交わす輩が集う場です。
当然、五戒の一つ、不飲酒戒を守っていない仏教ともいるわけで……。
この話は、我を忘れるほど酒を飲んでしまった仏教徒、雲居一輪の物語です。
我を忘れるほど飲み明かして、気がついたら布団の中。
隣には、素っ裸の、白蓮と神子。
これには一輪もパニック!!
次いで起きた神子に、説明を求めます。
そして明らかになる、一輪の恥の数々!!
この一輪、飲酒以外にも、不妄語戒、不邪淫戒はやらかしています。
不殺生戒もちょっと怪しい。
あと少しで五戒を全て破る乱れっぷりでした。
でも、お酒を飲まなければ、白蓮に甘えられなかったのはあるんじゃないかな、と。
基本的には真面目で、融通の利かない所がありますし。
人間だった頃の話もまた然り。
元人間だとされていますが、人間だった頃の話があまり出てこないのは、彼女にとって何かしらトラウマがあるかもしれませんしね。
一輪に昨夜の出来事を語る、神子もいい性格をしていました。
演技がかった口調で語り、話す度にビシッとポーズを決める。
それでいて雄大な包容力も合わせ持っています。
この神子、「全ての女性は私の嫁」とか言い出してもおかしくはありません。
読み返してみると、神子がしきりに「胸」の話を振っていましたね。
一輪の最大の罪を、自力で思い出させようとしたのでしょう。
自分の胸の話を一度もされなかった腹いせかもしれませんけどね。
全編ギャグ調で、オチもしっかり。
楽しんで読ませていただきました。
最後に、一輪の悪行を語りに語った神子には、これだけは言いたい。
可及的。
迅速に。
服を着ろ。服を。