自治体にサイバー防御演習 総務省、五輪にらみ対応力高める
総務省は20日、地方自治体や、電力などインフラ関連企業のセキュリティー担当者を対象としたサイバー防御演習「CYDER(サイダー)」を始めた。標的型ウイルスによる攻撃を想定。担当者が通信記録をもとに、侵入経路や想定される被害の度合いを分析し、情報を共有する。2020年の東京五輪・パラリンピックをにらんで対応力を強化する。
20日は東京都練馬区や横浜市、さいたま市、栃木県足利市など関東の自治体の担当者など45人が参加した。4人一組のチームでウイルスに攻撃された際、情報が外部に流出した時間やどこに送られたかを割り出す課題に取り組んだ。通信履歴を分析して割り出そうと奮闘していた。
演習は17年度中に全都道府県で100回実施する。16年度は1500人が参加したが、17年度は3千人に増やす方針だ。複数の地域をネットワークでつなぎ、実際に不正プログラムをつかって疑似的に攻撃。担当者が発生時からの一連の流れを体感するのが狙いだ。
演習の運営は、総務省所管の情報通信研究機構(NICT)が4月に開設した組織「ナショナルサイバートレーニングセンター」が担当する。同センターでは石川県内に150台の専用サーバーを用意。数千人規模の演習が可能だとしている。
近年では国際イベントの発生時にサイバー攻撃が増える傾向がある。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の普及も見込まれ、IoT機器を通じた攻撃も想定される。東京五輪をにらみセキュリティー担当者の対処能力の底上げが喫緊の課題となっている。