【4月10日 AFP】イラン国営ファルス(Fars)通信によると、同国の原子力研究機関のトップの科学者が、東京電力(TEPCO)福島第1原子力発電所の事故について「イランは日本を容易に助けることができる」と発言した。

 同通信は「SESAMI(中東放射光施設)」のイラン代表マフムード・レザ・アガミリ(Mahmoud Reza Aghamiri)氏が「イランは福島原発の事故で打撃を受けた今の日本を助けられる国のひとつだ。イランの専門家はこの災害に取り組み、日本の問題を容易に解決することができる」と述べたと報じた。

 また同氏は「これは原子力の実務能力においてイランが日本より優れていることを示すものだ」と述べ、日本の原子力技術が米国に依存したものであると暗に批判した。

 福島第1原発は3月11日に発生した東日本大震災で大きな被害を受け、深刻な状況が続いている。イランも日本と同様に地震多発地帯に位置し、たびたび地震に見舞われている。

■SESAMIプロジェクトとは

 SESAMIプロジェクトの正式名称は「中東における実験科学及び応用のための放射光国際センター(International Centre for Synchrotron -Light for Experimental Science and Applications in the Middle East)」という。

 スイス・ジュネーブ(Geneva)に拠点を置く欧州合同原子核研究所(European Organisation for Nuclear ResearchCERN)のものに匹敵する粒子加速器の開発を目指す中東地域の国際共同研究プロジェクトで、アガミリ氏は、2010年1月にテヘラン(Tehran)の自宅前で殺害されたマスード・モハマディ(Massoud Ali Mohammadi)氏に代わり、3月に同プロジェクトにおけるイラン代表に就任したばかり。

 イラン政府は、モハマディ氏の殺害はイスラエルと米国から金を受け取った殺し屋の犯行だったとして、両国を批判している。(c)AFP

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