組織犯罪規制法によりタバコ会社に下った命令

アメリカのタバコ会社4社が、タバコの健康への影響について広告を出さなくてはいけなくなった。6年間の裁判の末、4社は組織犯罪規制法に違反したと認められ、テレビ及び新聞で広告をすることを命じられていたのだが、その広告がとうとう出る

広告は5種類あるのだが、その内容がどれもなかなかに凄まじいので翻訳して紹介する。

タバコの健康への悪影響

連邦裁判所は、アルトリア、R.J.レイノルズ・タバコ、ロリラード、フィリップモリスUSAに対して、タバコの健康への影響について次のように広告することを命ずる

  • タバコは人を殺す。だいたい平均1200人、一日で。
  • タバコによる死者の数は多い。殺人、AIDS、自殺、薬物、自動車事故とアルコールによる死者を合わせたよりも。
  • タバコは、心臓病、肺気腫急性骨髄性白血病に加え、口腔、食道、喉頭、肺、胃、腎臓、膀胱、膵臓の癌を引き起こす。
  • それから、タバコは、生殖能力の低下、新生児の体重減少、子宮頸がんを引き起こす。

タバコとニコチンの中毒性

連邦裁判所は、アルトリア、R.J.レイノルズ・タバコ、ロリラード、フィリップモリスUSAに対して、タバコとニコチンの中毒性について次のように広告することを命ずる

  • タバコは、とても中毒性がある。ニコチンは、タバコに含まれる中毒性のある薬物だ。
  • タバコ会社は、わざとニコチンの量を調整して、タバコによってニコチン中毒になり中毒であり続けるようにしている。
  • やめらんないよ。
  • タバコを吸うと、ニコチンが脳みそを変える。だからやめるのはめちゃくちゃ大変。

低タール、ライト、ウルトラライト、マイルド、天然などのタバコが、健康に対して大差ないことについて

連邦裁判所は、アルトリア、R.J.レイノルズ・タバコ、ロリラード、フィリップモリスUSAに対して、ライトタバコが普通のタバコと同じくらい害があることについて次のように広告することを命ずる

  • かなりの喫煙者がタバコをやめずに低タールやライトタバコに切り替えているのは、低タールやライトタバコの方が害が少ないと思っているから。それ、勘違い。
  • 低タール、ライトタバコを吸っても、基本的に同じ量のタールとニコチンを吸うことになるんだ。
  • どんなタバコでも、癌、肺の疾患、心臓発作、早死を引き起こす。低タールでも、ライトでも、ウルトラライトでも、マイルドでも、天然でも。安全なタバコなんてない。

ニコチンの吸収が最大になるようなタバコの開発と合成

連邦裁判所は、アルトリア、R.J.レイノルズ・タバコ、ロリラード、フィリップモリスUSAに対して、ニコチンの暴露量を増やすようにタバコを設計してきたことについて次のように広告することを命ずる

  • アルトリア、R.J.レイノルズ・タバコ、ロリラード、フィリップモリスUSAは、わざと中毒になりやすいようなタバコを設計してきた。
  • タバコ会社は、いろいろな方法で、ニコチンをできるだけ摂取させて効かせるようにしてきた。たとえば、フィルターの形状だとか、ニコチンができるだけ摂取されるように巻紙を選んだりだとか、アンモニアを混ぜて味を柔らかくしたりだとか、物理的にも化学的にも配合をいじったりだとかしてきた。
  • タバコを吸うと、ニコチンが脳みそを変える。だからやめるのはめちゃくちゃ大変。

受動喫煙健康被害

連邦裁判所は、アルトリア、R.J.レイノルズ・タバコ、ロリラード、フィリップモリスUSAに対して、受動喫煙の健康への影響について次のように広告することを命ずる

  • 受動喫煙は、毎年38,000人以上のアメリカ人を殺している。
  • 受動喫煙によって、タバコを吸わない大人が、肺癌および冠状動脈性心疾患になる。
  • 副流煙にさらされた子供は、乳幼児突然死症候群、急性呼吸器感染症、耳疾患、重症喘息、肺機能の低下などになりやすくなる。
  • 副流煙は、どんなに微量でも安全にはならない。

裁判所による命令の原文: https://ecf.dcd.uscourts.gov/cgi-bin/show_public_doc?1999cv2496-6227

なお、タバコの危険性についての広告は、2017年11月26日日曜日よりアメリカ全土で行われる。テレビコマーシャルは、52週間に渡って週5回、平日(月曜から木曜)のゴールデンタイムに45秒枠で3大テレビネットワークに流れる。新聞広告は、43社以上の日曜版に全面広告を14週間で5回出すことになっている。スペイン語版も作り、ネットでも Flash または Javascript を用いた動画広告を出す必要がある。

もちろん、費用はすべてタバコ会社持ちである。

さすがアメリカ。やることがえげつない。