脱社畜ブログ

仕事観・就職活動・起業についての内容を中心に、他にも色々と日々考えていることを書き連ねていきます。

業務効率化だけでは残業はなくならない

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「残業時間の削減」についての話が出ると、必ずセットで語られるのが「業務の効率化」だ。確かに、日本の職場では多くの非効率業務が放置されている。これらを改善すれば、その分早く帰宅できるようになるはずだ。だから、非効率業務をどんどん改善していって、みんなで早く家に帰れるようにしよう……これが、一般的によく言われる残業対策の基本的な考え方だ。

 

この考え方はある程度は正しいと思う。しかし、あらゆる場合においてもこの方法で残業時間が削減されるかというと、実はそんなことはない。特に、その企業が業績を伸ばそうとしている場合、業務効率化による残業対策の実効性には多くの場合疑問が残る。

 

例えば、あなたの部門が、業務効率化を推し進めて今まで一日12時間かかって50生産していたものを、8時間で50生産できるようになったとしよう。素直に考えると、これで残業は無くなってみんな定時に帰れるということになりそうだけど、本当にそんなにうまくいくだろうか。仮に、この業務効率化によって削減された4時間を、さらに生産に当てると今まで1日50しか生産できなかったのが、75生産できるように変わる。そして経営者は、往々にしてこのような意思決定をしたがる。

 

そもそも企業というのは、基本的には業績を伸ばそうと成長を志向していくものだから、このような判断がなされるのはある意味当然だ。投資家は会社の業績がよくなって株価が上がることを期待するし、ライバル企業との競争などに常に晒されている以上、「もうこのへんで成長はやめます」という判断ができる企業はほとんどない。圧倒的な一人勝ちでもしない限り、業務効率化によって生み出された余剰時間は、さらなる業務拡大に投資されてしまう。構造的に、業務効率化が残業を当然のように減らすようにはなっていない。

 

このことを考えると、残業を減らすために必要なのは業務効率化ではなく「規制」ということになる。まずは問答無用で制限時間を設定してしまうべきだ。その決めた時間の中で、業績を伸ばし競争で勝つために業務効率化をしていくようにしないと、残業はいつまでたってもなくならない。業務効率化で残業をなくしていこう、というのは実は順番が逆だ。残業ができなくなったから、業務効率化をしなければならない、である必要がある。

 

もちろん、残業には色んな類型があるので、中には業務効率化が効果的にワークする場合もあるだろう。付き合い残業のような、日本の相互監視・同調圧力が残業を招いているような場合には、また別の処方箋が必要になってくる。残業については、まだまだ考えることが多い。ただ、一つ言えることは、残業を業務効率だけの問題にするのは、適切ではないということだ。

 

夜までに帰宅 (角川ホラー文庫)

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