当初、7月19日発売予定が内蔵HDDの輸送上のトラブルにより発売が延期され、少し残念なスタートを切った「nasne(ナスネ)」ですが、BS・CS・地デジ対応のHDDレコーダーなのにHDMIやビデオ端子といったものが一切なく、ネットワークオンリーの非常にユニークなガジェットです。
8月30日に発売されてやっと入手できたので、実際に利用してみた使用感をレビューしていきます。なお、内蔵HDDのバックアップや換装についてはこちらで取り上げているので、合わせて読んでもらえるとよいかと思います。「nasne(ナスネ)」って何?
「nasne(ナスネ)」はSCEから発売された500GBの内蔵ハードディスクを搭載したネットワークレコーダー兼メディアストレージです。
具体的には、以下の4点が可能です。
・有線LANを通じてホームネットワーク上の対応機器や対応アプリケーションと連携し、ネットワークレコーダーとしてTV視聴、録画、再生などができる
・放送中の番組や録画した番組、「nasne(ナスネ)」に保存したデータをリアルタイムで同時に2台まで配信できる
・「nasne(ナスネ)」のシステムソフトウェア バージョン1.50以上であれば、パソコンなどから画像や音楽、ビデオ、文書などのデータを保存できる
・DLNAクライアント機器から「nasne(ナスネ)」にアクセスして、画像や音楽、ビデオが再生できる
本体にPSマークが入っていたり、SCEから発売されているので、PS3やPSP、PS VitaといったSCEが扱っているゲーム機用の周辺機器のようにも見えますが、他のソニー製品からでも使えるようになっているので、ゲーム機専用の周辺機器ではないのも、特長かも知れませんね。
対応機器は後ほどまとめているので、そちらをご覧ください。
デザイン
見た目は新型のPS3のデザインを踏襲し、外観をそのまま小さくしたような感じで、非常にシンプルです。
背面には電源ボタン、リセットボタン、USB、LAN、アンテナIN、OUT、ACアダプタ電源が並んでいるのと、側面に、B-CASカード挿入口があるだけです。
対応機器
9月10日現在の対応状況は以下の通りです。今後、増えていくんじゃないかなぁ。と思ってます。
※ 「torne(トルネ) for PS Vita」(仮称)は、2012年中に提供予定
※ PS Vitaへの書き出しは、「torne(トルネ)」 ver.4.1以上
※ Xperia スマートフォンの一部機種は、2012年中に対応予定
容量
1TBへの換装方法でも書きましたが、500GBじゃ心許ないですね。特に番組録画だけでなく、家庭などでPCやスマホなどで、データ共有するためのNASとしても利用しようと思っている人は、保証がなくなってしまう恐れはありますが、換装をオススメします。
今後、1TBモデルの発売も検討して欲しいですね。
拡張性など
USBの外付HDDが利用できますし、PS3で最大4台、PCなら最大8台まで管理できます。
容量のところでは少ないと書きましたが、やろうと思えば「torne(トルネ)」を買い足すことで利用できる容量を増やすこともできると思います。
台数が増えれば、その分電気代も増えてしまいますが...。
PS3専用地デジチューナー「torne(トルネ)」より優れているところ
・BSやCSの録画ができるようになる
・録画する時の電気代が節約できる
・PS3の故障で録画データが利用できなくなる心配がない
・VAIOを組み合わせれば、録画データをHDDや外部メディアに書き出せる
・「torne(トルネ)」と組み合わせたり、「nasne(ナスネ)」を複数台購入することで、番組の同時録画が可能になる
「nasne(ナスネ)」の良いところ
1番のウリは、PS3用アプリケーションの「torne(トルネ)」が利用できることです。「torne(トルネ)」は、番組の録画予約や録画した番組を探したりするが、とても楽チンです。もう家電のHDDレコーダーを触りたくなくなる位の使い心地といっても言い過ぎではないと思います。
また、PS3用の周辺機器である地デジチューナーの「torne(トルネ)」はPS3に1台しか接続できなかったので、同時に録画できる番組は1つまででしたが、PS3単体で「torne(トルネ)」1台と「nasne(ナスネ)」4台を組み合わせると、合計5番組まで同時に録画ができちゃいます。VAIOの場合は、「nasne(ナスネ)」を8台まで管理できるので、8番組同時録画もできます。これはこれまで1番組しか録画できなかった「torne(トルネ)」からは、大きな進歩だと思います。
更に、VAIOと「nasne(ナスネ)」を組み合わせれば、VAIOのHDDだけでなく、Bru-layやDVDに書き出しができるようになるので、これまで「torne(トルネ)」で録画した大切な番組を外部メディアに書き出しができず、HDDから消すことができなかった人には朗報じゃないでしょうか。ただし、残念なことも書いたのですが、PS3の「torne(トルネ)」で録画した番組は書き出しできませんので、あしからず。
最後に、これはSCEが出す製品の多くに共通して言えることですが、ソフトウェアアップデートでハードが進化することですね。PSPやPS3も発売当初からは考えられない位に色々な機能が増え、色々できるようになりました。同じことが「nasne(ナスネ)」でも可能になるんじゃないかなぁ。と今から期待しています。
「nasne(ナスネ)」の残念なところ
良くも悪くも、ソニー製品でしか利用できないところですね。手持ちのPCやiPhone、Androidなどでも、色々試してみましたが、「nasne(ナスネ)」で録画した番組の再生はできませんでした。PCの場合でも、DLNAとDTCP-IPに対応したソフトはTV録画ができるハードに付属していたり、一部のメーカー製PCなどに付属しているだけで、ソフト単体で手に入れるのが困難です。DLNAとDTCP-IPに対応したソフトについては、どこかのメーカーがnasne向けに作って売ってくれないかなぁ。と思ってます。
個人的に1番残念だったことは、「torne(トルネ)」と「nasne(ナスネ)」間で録画したデータのムーブができないことです。これができるのなら、Blu-rayやDVDに書き出すためにだけVAIOを買ってもいいかなぁ。と思う位ですね。また、可能であれば、HDDの交換も簡単にできるようにしてもらいたかったですね。
「nasne(ナスネ)」は買いなの?
「torne(トルネ)」をバリバリ使いこなしている人は買いだと思います。特に「torne(トルネ)」でBSやCSの録画をしたかった人はマストじゃないでしょうか。また、これまで「torne(トルネ)」ってスゴく良さそうなんだけど、録画する度にPS3起動するんでしょ? PS3の寿命短くならない? 電気代は? とか心配して躊躇していた人は、そういった心配や不安は不要になりました。迷わず買ってしまいましょう。ただし、「nasne(ナスネ)」って面白そうだけど、ソニー製品って最近使ってないんだよね。っていう人は、今は様子を見るべきかと思います。いずれは、ソニー製品以外でも快適に利用できるようになる日が来ると思うので、それまでは買わなくてもいいんじゃないかなと思います。
僕自身はHDDの換装も成功し、録画残量が残り僅かになっていたPS3から録画先を変更するだけで快適に利用できているので、満足しています。ただ、今のところはPS3からしか利用できない状態なので、「torne(トルネ) for PS Vita」(仮称)が早く利用できるようになる日を心待ちにしています。SCEさん、頑張って下さい!
nasne(ナスネ) オフィシャルサイト[Sony Computer Entertainment]
(KENTA)