2011年4月5日7時4分
経済産業省と環境省は4日、東日本大震災による電力不足を補うため東京電力がガスタービンなどの火力発電施設を新増設する場合、特例で環境影響評価(アセスメント)を免除する方針を明らかにした。今夏や冬に向けた東電の供給能力増強を早期に進めさせる狙いだ。
1999年の環境影響評価法施行後、免除は初めてになる。通常約3年かかる影響評価の手続きをなくすことで、最短数カ月で発電施設の新設が可能になる。
同法では、出力が11万2500キロワット以上の火力発電施設を新設する場合、自治体や地元住民の意見を聞いて環境保全対策を練る環境影響評価が必要だ。
同法には「災害復旧事業には環境影響評価を適用しない」という規定がある。東日本大震災では福島第一原発や福島、茨城両県などの火力発電所が被災。東電管内で大幅な供給能力不足が生じた。両省は供給力回復に向け東電が行う緊急の発電所建設には、この規定を適用できると判断した。
この結果、火力発電所の建設手続きは、30日前までに経済産業相に出す工事計画の届け出だけになる。その場合でも、大気汚染防止法やダイオキシン類対策特別措置法の基準などを満たす必要はある。そのため、両省は「影響評価は免除されても、それ以外の公害防止規定は適用されるため、環境への負荷は抑えられる」としている。
ガスタービン発電施設は工期が数カ月と短い。東電は当面、今夏までに計40万キロワット分を増強しようと、ガスタービン設備の確保に乗り出している。
経産省の予測では、東電管内での今夏の需要ピークは6千万キロワットで、供給は4500万キロワット程度にとどまる。政府は4月中に電力需給対策をまとめるが、大手企業の節電計画や電力使用制限などの節電対策の一方で、供給力の増強が課題となっている。(小暮哲夫)