>【フィリピン】官民連携事業、5千億円規模:運輸とエネルギーに重心
【フィリピン】官民連携事業、5千億円規模:運輸とエネルギーに重心NNA 11月9日(火)8時30分配信 これまでに発表された官民パートナーシップ(PPP)事業は28件で、投資総額は2,635億ペソ(約5,030億円)に達する見通し--。投資委員会(BOI)のパンリリオ専務理事(貿易産業次官)がこのように明らかにした。8日付スターが伝えた。 今年に発表されたPPP事業の主な対象は運輸・観光、農業、再生可能エネルギー開発の3分野。 運輸・観光事業では、◆MRT(高架鉄道)とLRT(軽量高架鉄道)の延長(投資額15億6,000万米ドル)◆LRT2号線の東部延伸(2億5,100万米ドル)◆パラワン州プエルトプリンセサ空港の改修(9,700万米ドル)◆ビサヤ地方ボホール空港の建設(1億6,800万米ドル)--が挙がっている。 農業分野では、◆ミンダナオ地方カブルナン川流域の灌漑(かんがい)・発電計画(3億1,900万米ドル)◆農産・水産品の流通網整備(3,300万米ドル)--などが対象という。 再生可能エネルギー分野では、◆風力発電所の開発(1億2,500万米ドル)◆風力発電企業ノースウインド・パワーによる2件の風力発電事業(1億7,500万米ドル)--などがリストアップされた。 パンリリオ専務理事は、今月18~19日にマニラ首都圏パサイ市のホテルで開催予定のPPPに関する国際会議の場で、来年に予定するPPP事業10件(1,278億ペソ)を発表すると報告。2012年には73件の事業を特定する計画だ。 一方、2012年以降に電力分野で実施予定のPPP事業は43件。総投資額は、3,485億ペソに達するという。 ■世銀は資金面で協力の用意 8日付ビジネスワールドによると、世界銀行マニラ事務所のホフマン所長は、フィリピン政府のPPP事業に関連して、「フィリピン政府が支援を必要とするなら、ペソ建て債の発行を通じて資金面で支援する可能性がある」とコメントした。ただし計画を固めるのは、フィリピン政府がPPP国際会議で発表するとみられる入札の枠組みを見てからという。 ■警告の声も 一方、8日付ビジネスミラーによると、米国のシンクタンク、グローバル・ソースは、「フィリピン政府は計画しているPPP案件について、十分な事業化調査(FS)を行っていない」と指摘。その上で、「質が確保されず、またしっかりした資金計画もないままPPPプロジェクトを強行すれば、国家財政に大きなリスクをもたらすだけの結果を招きかねない」と警告している。 この警告に対し、ラシエルダ大統領報道官は、「計画しているPPP案件は、広範囲にわたる事業化調査を実施済み」とコメント。「PPP国際会議の出席予定者が、グローバル・ソースの意見を理由に参加を見合わせることはないと信ずる。グローバル・ソースの意見は根拠が薄弱だからだ」と反論した。 最終更新:11月9日(火)8時30分