人も組織も年をとる

今年も終わろうとしています。昔は、日本人はみな1月1日を迎える度にひとつ歳をとっていました。いわゆる“数え年”というやつです。

数え年システムでは、生まれた時が1歳で、その後は1月1日にひとつずつ増えます。日本全員、一年に一回、正月と一緒に誕生日を祝えばいいので、超合理的ですね。

さて今日は、組織も一年にひとつ、歳をとるのよん、というお話です。


今、従業員の平均年齢が30才の組織があるとしましょう。その組織の、10年後の社員の平均年齢は40才です。


「いやいや、そんなことにはならないよ」って?


そうですね。ならない場合も多々あります。どういう場合かというと、若い人が入ってくる場合です。

たとえば、30才の人が10人いる会社は、一年後に平均年齢が31才になります。平均年齢を上げないためには、20才の人がひとり入社すればいいです。20才ひとりと31才10人で、平均年齢は30才です。

その翌年、この組織の平均年齢はまた31才になります。これを阻止するためには、今年は19才の人をひとり採用する必要があります。


そんなのあたりまえじゃん。だから企業は毎年、新卒を採用してるじゃん。と思われるかもしれません。でも、これってそんなに楽なことでもないのです。


だって、10人しか社員のいない会社が、今の平均年齢から10才も年下の人を毎年1人雇い続けるって、相当の成長企業じゃないと難しいです。

これが大企業で、30才の人が1万人いる会社なら、社員の平均年齢を保つには、今年は20歳の人を1000人、来年は19歳の人を1000人も雇う必要があるってことなんです。

そんなに人を雇えるほど事業拡大してる企業って、イマドキどんだけあるんでしょう?


もちろん、定年退職で辞めていく人もいるので、高齢者が減ることにより、やや少ない新規採用でも平均年齢は保てます。でも、実際にはソレでは追いつかず、大半の企業では、一年に約1才、社員の平均年齢が上がっています。

10年もたてば(急成長を続けている企業以外では)、社員の平均年齢は8才くらいはあがります。一度自分の会社でざっくり計算してみて下さい。現在の社員数と平均年齢、定年退職者と新入社員の数がわかれば、計算できるでしょ。

超急成長企業以外では、定年退職者や新入社員の数は、既存社員の数とはケタが違います。だから平均年齢に大きなインパクトを与えるのは、「既存社員の全員が、必ず毎年ひとつずつ歳をとる」ってことのほうなんです。


メインボディが年をとるため、相当レベルの新陳代謝を意図的に起さない限り、組織の多くは毎年ひとつ平均年齢が上がり、ぼやぼやしてると、今、平均年齢30才の会社は、10年後には平均年齢40才の会社になります。今はすごく若い人ばかりの会社でも、必ずそうなります。


これは経営者の視点から見ると、結構怖いことです。特に若い人向けのビジネスをやっている企業にとっては、20年で20歳分、社員の平均年齢が上がったりしたら死活問題でしょう。20代だけの会社が40代だけになるんだからね。そして今40代が中心という会社の場合は・・(以下略)


そうならないためには、下記のいずれかを徹底するしかありません。
・事業規模、売上において相当の成長率を達成し、毎年かなりの数の若い新人を雇う(高度成長期モデル)
・かなり意識的に、年齢の高い社員に辞めて貰う(低成長期モデル)


長期にわたって組織の平均年齢を若く保つというのは、とっても大変なことなんです。


そしてこのことを理解してる経営者は、この問題を避けるための手法をきっちりと人事制度に取り入れています。その方法は3つあり、簡単に言えば
(1)リクルートメソッド
(2)米系外資企業メソッド
(3)楽天・ユニクロメソッド
しかありません。



それぞれどういう手法だって?


そんなこと、ブログに書けるわけないじゃん。



 そんじゃーね。


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