写真1●AXGP(TD-LTE)を利用した「Softbank 4G」を発表するソフトバンクモバイルの孫正義社長
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 ソフトバンクモバイルは2011年9月29日、同社の関連会社であるWireless City Planning(WCP)がインフラ展開する2.5GHz帯を使ったデータ通信規格「高度化XGP(AXGP)」を活用する下り最大110Mビット/秒の通信サービス「Softbank 4G」を2011年11月1日から開始すると発表した(関連記事)。まずは試験サービスとして開始し、2012年2月に本サービス化する計画だ。

 AXGPは、旧ウィルコムが推進していたデータ通信規格「XGP」(関連記事)を拡張した規格。帯域幅を10MHz幅から20MHz幅に拡張し、上り下りの非対称や多元接続方式にOFDMAに加えてSC-FDMAを追加している。その結果、中国やインドで導入の検討が進む「TD-LTEに100%互換」(ソフトバンクモバイルの孫正義社長、写真1)の形となり(関連記事)、スケールメリットを生かした機器の調達がしやすくなった(関連記事)。日本の制度上はAXGPとしての位置付けだが、その実態はTD-LTEそのものと言えそうだ。通信速度は下り最大110Mビット/秒、上り最大15Mビット/秒である。

写真2●イー・アクセスのDC-HSDPA、UQコミュニケーションズのモバイルWiMAX、NTTドコモのLTEと比較した速度面の優位性をアピール
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 孫社長はAXGP(TD-LTE)を用いたSoftbank 4Gについて、「競合他社のサービスと比較して、日本でも最高速の通信インフラ。さらなる快適な通信を届けたい」とアピール(写真2)。エリア展開も急ぎ、「2012年度末までに全国政令指定都市の99%をカバーしたい」(孫社長)とした。

 Softbank 4Gに対応した端末の第1弾として、モバイルルーター型の「ULTRA WiFi 4G Softbank 101SI」(セイコーインスツル製)を2012年2月に発売する(写真3)。端末の処理性能の制限から、こちらの端末では下り最大76Mビット/秒、上り最大10Mビット/秒となる。AXGP(TD-LTE)のほかに、下り最大42ビット/秒のDC-HSDPAにも対応する。

写真3●Softbank 4Gの第1弾端末として2012年2月に発売するモバイルルーター「ULTRA WiFi 4G Softbank 101SI」(セイコーインスツル製)
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 料金体系については、「現時点ではコメントできない。競合他社のサービスと競争できる体系にしていきたい」(孫社長)と答えるにとどめた。

 なおAXGP(TD-LTE)のインフラを展開するWCPは、2011年6月にMVNO向けの標準プランを公開しており(参考資料PDF)、こちらではMVNO向けの料金が提示されている。例えば最も基本的なプラン1の場合、1回線当たり月額3800円から(1カ月当たりの通信量は2Gバイトまで。それ以降は1Gバイトごとに月額980円)、ゲートウエイへの接続インタフェース当たり月額20万円など、となっている。Softbank 4Gの料金体系は、この標準プランに近い形になると想像できる。

会場内のデモでは最高速度は100Mビット/秒超も

写真4●AXGP(TD-LTE)のデモでは、下り100Mビット/秒超のピーク速度を記録することも
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 発表会場内では、AXGP(TD-LTE)のライブデモも実施した(写真4)。ここでは2012年2月に発売するモバイルルーターではなく、よりスペックが高いというUSBドングル型の試験端末を使い、屋内に設置した基地局からデータを送受信する様子を見せた。受信のピーク速度は100Mビット/秒を超えるなど、その実力の一端を見せた。

 なおAXGP(TD-LTE)のインフラ設備としては、基地局に中国華為技術とZTE、バックホールの中継ルーターに仏アルカテル・ルーセントの機器などを採用しているという。

 ソフトバンクモバイルは、WCPのMVNOとして提供するAXGP(TD-LTE)に加えて、FDDモードのLTEの導入も「もちろん検討している」(孫社長)。その場合、バックホールやコア網の共通化なども進めたいとしている。

 WCPが2011年6月に総務省に提出した開設計画によると、2012年度末の基地局数は1万2693局、同時点で52万加入を計画している。また2012年度末の全国人口カバー率を92%とする予定となっている。

ソフトバンクモバイル「Softbank 4G」のニュースリリース]
WCPのニュースリリース