こんにちは、阿久津です。Windwos 7からWindows 8へ移行したユーザーの間で不満にあがっているのが、無線LAN AP(アクセスポイント)の優先順位です。Windows 7では、プロパティダイアログなどで設定可能でしたが、Windows 8は新たに利用可能になったネットワークの通知がありますと、自動的にネットワークのリストを更新する仕組みを備えています。そのため、無線LAN APの電波状態を手動で更新するボタンや、無線LAN APの優先順位を変更する項目は用意されなくなりました(図01)。

図01 Windows 7の無線LAN

確かに自動判断を優先するのであれば、手動操作項目は必要ありません。しかし、部署内や家庭に複数の無線LAN APを設置している場合や、集合住宅のように違うお宅の無線LAN APを拾ってしまうことを踏まえますと、便利とは言い難いのが現状です(図02)。

図02 画面の例では「Cactus-5g」に接続していますが、この状態で「CactusHome」に接続しますと、以降は後者の無線LANのSSIDが優先されるようになります

そこで今週はWindows 8の無線LAN APに優先順位を付けるため、コマンドプロンプトからチューニングを実行しましょう。

1. コマンドプロンプトを起動します。
2. 「netsh wlan show profile」を実行して、インターフェース名とユーザープロファイルを確認します。
3. 「netsh wlan set profileorder name={優先するSSID} interface={インターフェース名} priority=1」と実行します。

これでチューニングが終了しました(図03~05)。

図03 [Win]+[X]キーを押してクイックアクセスパネルを開き、<コマンドプロンプト>をクリックします

図04 「netsh wlan show profile」と入力して[Enter]キーを押します。これで、インターフェース名(画面の例では「Wi-Fi」)とユーザープロファイル(SSID)が確認できました

図05 「netsh wlan set profileorder name={優先するSSID} interface={インターフェース名} priority=1」と入力して[Enter]キーを押してください。画面の例では「netsh wlan set profileorder name="Cactus-5g" interface="Wi-Fi" priority=1」となります

では結果を確認してみましょう。そのままステップ02の操作を再び実行してください。するとステップ03で指定したSSID(画面の例では「Cactus-5g」)が最優先される無線LANのSSIDになりました。なお、「priority」で指定する値は任意の数字を指定することが可能です「1」を指定すれば最上位に移動し、「2」を指定すれば二番目に移動します(図06)。

図06 図04と比べると一目でわかるように、ユーザープロファイルの順番(無線LAN APの優先順位)が変更されました

その一方で煩雑に感じるのが、自身が使う可能性のない無線LAN APです。先の図02でも隣宅の無線LANのSSIDが列挙されていますが、今回はこれらを非表示にする方法を合わせて紹介しましょう。今度は管理者権限でコマンドプロンプトを起動し、「netsh wlan show networks」と実行してください(図07~08)。

図07 [Win]+[X]キーを押してクイックアクセスパネルを開き、<コマンドプロンプト(管理者)>をクリックします

図08 「netsh wlan show networks」と入力して[Enter]キーを押してください。これで周辺の無線LANのSSIDが列挙されます

これで無線LANが検知した各APが列挙されました。ここからブロックしたいAPを「netsh wlan add filter permission=block ssid={ブロックするSSID} networktype=infrastructure」と実行してください。これで特定の無線LAN APをブロックできます。「netsh wlan show blockednetworks」と実行しますと、無線LAN設定のポリシーが確認できます。図09のように値が「いいえ」であれば問題ありません。続いて「netsh wlan show filter」と実行すれば、図08で行ったブロック操作が反映されます(図09~10)。

図09 「netsh wlan add filter permission=block ssid={ブロックするSSID} networktype=infrastructure」と入力して[Enter]キーを押してください。画面の例では「netsh wlan add filter permission=block ssid="CG-Guest" networktype=infrastructure」となります

図10 「netsh wlan show blockednetworks」で無線LAN設定のポリシーが確認

図11 「netsh wlan show networks > list.txt」と入力して[Enter]キーを押してください。これで周辺の無線LAN APがテキストファイルにリダイレクトされます

問題は多数の無線LAN APが列挙される環境でしょう。筆者の自宅兼仕事場では、かなりの数にのぼる無線LAN APが常に表示されてしまいます。これらをまとめてフィルターに登録するためには「netsh wlan show networks > list.txt」と実行して検出した無線LAN APのSSIDをテキストに書き出しましょう。続いて同テキストファイルを編集し、先のフィルター設定を記述します(図12~13)。

図12 同じように抽出したSSIDをフィルターに登録するため、内容を書き換えます

図13 図12で作成した内容を、そのまま管理者権限を持つコマンドプロンプトにコピー&ペーストします

後は管理者権限を持つコマンドプロンプトにコピー&ペーストすれば設定完了となり、各SSIDがブロックリストに登録されました。このカスタマイズ結果は、設定チャームの「ネットワーク」にも反映され、ここで行ったフィルター設定も反映されます。複数の無線LAN APに悩まされている方はこちらのチューニングもお試しください(図14)。

図14 こちらは設定チャームから選択できる無線LAN APの一覧。また新しい無線LAN APが列挙されていますが、先ほどブロックしたものは取り除かれました

それでは、また次号でお会いしましょう。

阿久津良和(Cactus