Kinectを使って身ぶり手ぶりでスキャン画像を操作する様子。写真の中央上端、ディスプレイの右上にある黒い横長の機器がKinect(YouTubeで公開されている動画より引用)
Kinectを使って身ぶり手ぶりでスキャン画像を操作する様子。写真の中央上端、ディスプレイの右上にある黒い横長の機器がKinect(YouTubeで公開されている動画より引用)
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 カナダのサニーブルック・ヘルス・サイエンス・センターが、マイクロソフトのゲーム機「Xbox 360」用のコントローラー「Kinect(キネクト)」を外科手術の現場で活用しているとの事例を公開している。

 Kinectは、カメラやマイク、赤外線ライトを使った距離センサーなどでユーザーの動きや声を検知し、身ぶりや手ぶりでゲームを操作できるコントローラー。画面の前に立ってユーザーがジャンプすると、ゲーム内のキャラクターが同じようにジャンプするといった、直感的な操作を実現する。

 トロント大学の研修医とサニーブルック・ヘルス・サイエンス・センターのがん外科医による医療技術グループは、このKinectを、手術中に患者のスキャン画像を視認するための技術として応用した。

 がんなどの外科手術では、MRIやCTスキャンの画像を視認するために、手術中に無菌領域を離れる必要がある。そこで同グループは、手術室のコンピューターにXboxとKinectを接続し、身ぶりや姿勢によってコンピューターのプログラムを制御可能にした。これにより、執刀医は何にも触れることなく、また無菌領域から出ることもなく、患者のスキャン画像を確認し、手術を続行できるようになったという。

 サニーブルック・オデットがんセンター胃腸がん医療チームの腫瘍外科医カルバン・ロー博士は、「Kinectと組み合わせたことで、執刀医は手をひと振りするだけで画像を直接コントロールし、正確な画像を思い通りに表示できるようになった。しかも無菌領域からの操作が可能だ。私にとって、これはまさに手術室の魔法だ」と、その有用性を語っている。