CLARiX/CelerraはVMware連携も強化

EMCストレージに見るSSDの使い方

2010/09/24

 EMCジャパンは9月22日、同社ストレージ/NAS「EMC CLARiX」「EMC Celerra」の新機能を提供開始したと発表した。新機能とは「EMC FAST」の新バージョン、「FAST Cache」「ブロックデータ圧縮機能」だ。6月に発表したものだが、その時点では7月以降に提供開始となっていた。EMCでは最近、自社ストレージにおけるSSDの利用を積極的に進めているが、これらの新機能の利用方法を通じて、EMCのSSDについての考え方が見えてくる。

 FAST(Fully Automated Storage Tiering)は文字通り「自動階層化管理機能」。つまり速度やコストの異なる複数の種類の記録媒体を組み合わせてストレージ領域を構成しておき、データをアクセス頻度に応じてより高速な記録媒体、あるいはより低速な記録媒体に移動できる。FASTでは、自動的にデータ移動が行われるようになっている。

 EMCは同社ストレージのオプション製品として、SLC型のSSDを「EFD(Enterprise Flash Drive)」という名称で提供している。このSSDを、FASTの1階層として組み込める。例えばSATAディスクドライブ、ファイバチャネル・ディスクドライブ、そしてSSDで3階層を構成することができる。

 使い方はこうだ。SATAドライブ、ファイバチャネル・ドライブ、SSDをまとめて1つの「ストレージプール」として設定する。次にストレージプールからこの3種の記録媒体を含んだLUNを切り出す。あとは各階層の運用ポリシーを、3つの選択肢から選ぶ。選択肢は、このLUN内のデータをできるだけ低い階層(低速/低コスト)に集めたいか、できるだけ高い階層(高速/高コスト)に集めたいか、完全自動(この場合は基本的に3種の媒体間で均等にデータを割り振る)にしたいか、の3つだ。FASTは、LUN内のデータを、1GB単位に論理的に分割して管理する。すなわち、データは1GB単位で使用頻度が監視され、頻度に応じて階層間を自動的に移動する。データの再配置はバックグラウンドで実行されるが、実行速度や実行曜日・時刻などは別途設定可能だ。

emc01.jpg SSDとハードディスクを組み合わせた「ストレージプール」からLUNを作成、LUN内でデータが自動的に最適な媒体に配置されるようにする機能がFASTだ

 CLARiX/Celerraは、このように同社のSSDであるEFDを、自動データ階層化管理に組み込んで使えるようにしているが、同じEFDをキャッシュとして使う利用法にも対応した。これが新機能の「FAST Cache」だ。一般的なエンタープライズ向けストレージ機器と同様に、CLARiX/CelerraにはDRAMキャッシュが搭載されているが、EFDをいわば2次キャッシュのように使うことで、DRAMキャッシュよりも低コストで、キャッシュサイズを簡単に拡張することができる。読み出しキャッシュ専用、あるいは読み出し/書き込み兼用の2つの利用モードがある。

emc02.jpg FAST Cacheは、DRAMよりは遅いもののハードディスクドライブより大幅に高速なSSDをキャッシュとして用いるアイディア

 EFDでは、最大2TBのキャッシュが構成可能だ。例えばVMware Viewでは、始業時間などに、デスクトップ仮想マシンが多数同時に起動されることが考えられるが、こうした場合に大容量キャッシュが効果を発揮するという。なお、EFDは1基ごとに、ストレージとして使うのかキャッシュとして使うのかを選択する必要がある。単一のEFDの領域の一部をキャッシュ、残りをストレージといった形で分割利用することはできない。

 ブロックデータ圧縮機能は、バックアップストレージで普及が進む重複除外に似た機能を、一次ストレージで実現することを狙っている。データをLUN単位で圧縮し、必要に応じて解凍して使うというものだ。

ヴイエムウェア連携も進化

 管理ツールでEMCは、「EMC Unisphere」を提供開始した。CLARiXとCelerraで分かれていた管理ツールを統一したものだが、ヴイエムウェアの仮想化環境にも対応している。具体的にはvCenter Serverと連携して、ESXホストおよび仮想マシンを自動検出し、物理サーバ/仮想マシンに対するLUNのマッピングを管理できる。こうした構成についてレポートを作成する機能も備えている。一方、仮想環境管理ツールでストレージも管理できるようにするため、vCenterプラグインも今回提供開始した。

 CLARiXとCelerraは今回、VMware vSphereのvStorage APIs for Array Integration(VAAI)にも対応した。これにより、Storage VMotionなどで発生するストレージ間のコピー作業を、ストレージ側だけで実行できるようになった。また、VMFSにおける排他制御のためのロックは通常LUN単位だが、これをブロックレベルで実行できるようになったため、例えば複数の仮想マシンの起動を高速化することが可能になった。さらに、仮想ディスクの空き領域であるゼロ情報について、サーバからの書き込みを減らせるため、例えば仮想マシンの複製作業の高速化が可能になった。

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(@IT 三木泉)

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