捜査資料流出の可能性も 尖閣衝突映像
今年9月に尖閣諸島沖で発生した中国漁船衝突事件で、海上保安庁が撮影したとみられるビデオ映像が、インターネットの動画共有サイト「ユーチューブ」を通じ、ネット上に流出したことが5日までに分かった。映像は国会で限定公開した概要版以外の内容も含んでおり、海保や那覇地検は捜査資料が流出した可能性があるとみて調査を始めた。
馬淵澄夫国土交通相は5日の閣議後の記者会見で映像が本物か否かについては言及せず、海保に事実関係の調査を指示した、と述べた。
海保幹部は「巡視船から撮影した『本物』の可能性が高い」としている。
海上保安庁によると、ネット映像は中国人船長の逮捕容疑となった巡視船「みずき」への衝突場面とみられるもののほか、直前に中国漁船が巡視船「よなくに」に接触したとされるものなどが計6本、約44分にわたって収録されている。
海保が撮影、那覇地検が押収したビデオ映像は今月1日、約7分間の概要版に編集した上、衆参予算委員会の理事ら約30人に限定公開。全面公開は日中関係の悪化につながるとの懸念などから、録音・録画を禁じ、携帯電話を回収する厳戒態勢下で実施された。
今回のネット映像は概要版を大きく上回る長さで、海保では、編集前の資料が流出した疑いがあると見ている。
衝突事件の捜査資料の映像は当初、石垣海上保安部(沖縄県石垣市)から東京・霞が関の海上保安庁に電送され、幹部らが見た後でデータを削除。関係省庁に視聴させる目的で複製したDVDも、視聴後にすべて回収しシュレッダーにかけて廃棄しており、現在は同保安部と最高検、那覇地検が保管しているという。