本業は電機?金融?
何の会社か分からない

「1990年代後半からのソニーは、残り火みたいな物だったのかもしれない」

 20年来、ソニーを見続けている、あるベテラン証券アナリストはソニーの凋落ぶりをこう表現する。

 確かにトランジスタ・ラジオ、ウォークマン、平面テレビのWEGA(ベガ)など多くのヒット製品を世に送り出していたソニーは、90年代以降、画期的な商品を生み出せていない。2005年からは中核事業のなかの中核である、テレビ事業は赤字が続いている。2012年3月期も赤字が確定的であり、8期連続となる。

 今や、営業利益の半分以上を本業であるはずのエレクトロニクス事業からではなく金融事業からで稼ぎだしており、市場関係者から「何の会社かわからない」と言われても仕方ない。

50年前の『週刊ダイヤモンド』から読み解く<br />ソニーの“本質”とアップルになれなかった理由

 

 一方で、本来ならソニーがその名を轟かせているべきコンシューマー・エレクトロニクス市場では、アップルが世界で圧倒的な支持を集めている。それはiTunesをベースに、iPodやiPhone、iPadといった革新的なハードウェアが、従来の音楽を聴き方や、モバイルコンピューティングの常識を覆し、生活や仕事のパターンを一変させるほどのインパクトを持っていたからだ。

 いずれアップルは「iTV」を引っさげてテレビ市場に参入すると言われており、世界最強の家電メーカーと呼ばれる日もそう遠くなさそうだ。