国立市の住基ネット不参加「違法」 東京地裁判決
市長の賠償責任認める
東京都国立市が住民基本台帳ネットワークに参加していないことを巡り、住民が「接続すれば不要なはずの行政コストを支出しているのは違法」として、関口博市長に公金支出の差し止めや損害賠償を求めた訴訟の判決が4日、東京地裁であった。杉原則彦裁判長は「国立市の対応は違法」として、市長に対し一部支出の差し止めを命じ、約39万円の賠償責任も認めた。
国立市では前市長が2002年12月、個人情報漏洩の危険性があるなどとして住基ネットとの接続を切断。現職の関口市長も接続せず、都の是正要求にも応じていない。原告の住民側は「接続しないのは違法行為だ」と訴えていた。
杉原裁判長は判決理由で「住基ネットでは一部の市町村の不参加があると、従来の事務処理を残さざるを得なくなり、行政コスト削減の目的を達せられない」と指摘。市町村には参加の法的義務があり「首長が離脱の判断をすることは許されない」と述べた。
そのうえで、年金受給者が日本年金機構に送る現況届の郵送費など、住基ネットに参加していれば不要な一部支出について、国立市に損害を与えたと判断。関口市長には約39万円の賠償責任があると結論付けた。
原告側は判決後に記者会見し「法治国家の首長が法を守らないという異常事態を、一刻も早くやめてもらいたい」などと訴えた。関口市長は「自治体の実情を理解しない判決で残念。控訴する」と話した。