無線LAN搭載SDメモリーカード「Eye-Fi」の数量限定モデルとして「Eye-Fi Pro X2 16GB Class10」が先日、販売開始された。メモリカードの大容量低価格化が進む中で、16Gバイトで実売想定価格9980円とは、無線LAN機能の搭載があるとしても割高な印象がぬぐえないが、新製品の発売に合わせて来日した、米Eye-Fi共同設立者のZiv Gillat氏は「創業時からEye-Fiはカードベンダーではない」と主張する。無線LAN搭載SDメモリーカードの販売を手がけることからハードウェアメーカーとしての印象が強い同社だが、その発言の真意はどこにあるか、話を聞いた。
「私がEye-FiをYuvalらと(同社CEO Yuval Koren氏)と立ち上げ、フルタイムで働くようになったのは2006年のことですが、そもそも設立の同機が、デジタル写真の整理整頓の困難さを解消できないかということでした」(Gillat氏)
その結果として無線LAN機能搭載SDメモリーカードの「Eye-Fi」を投入することとなるが、SDカードという形状ありきではなかった。いわゆるUSBメモリタイプの形状も構想段階では存在していたという。形状ありきではなく、無線LANを含めたネットワークの活用によって、デジタル写真の整理整頓を行うというのがEye-Fiの提供するものであって、メモリカードの販売はその一端に過ぎない。
「カードを販売していることもあって、日本ではハードウェアメーカーという印象を強く持たれているかもしれませんが、創業時から“サービスを提供しよう”といういうスタンスは変わりませんし、これからもそうだと思います」
「わたしたちはデジタルカメラを作っていませんし、カメラメーカーはネットワーク対応デバイスやサービスの専門家ではありません。わたしたちは、カメラに機能をプラスアルファできるEye-Fiという“サービス”を持っています。それらを融合して将来的には、ユーザーエクスペリエンスを高めていければいいと考えています」(Gillat氏)
――「Eye-Fi Pro X2 16GB Class10」を先日販売開始したが、Eye-Fiカードの大容量、高速化には技術的な困難があるのか。また、CFやQXDなどSD以外のメモリカードへの対応はどのように考えているのか
「大容量と高速化について、技術的な問題はあまりありません。そうした(大容量と高速化の)要望は以前からありましたが、提供するサービスとカメラの性能向上に合わせた容量と速度を考慮した結果、この時期の提供になったということです。
「Eye-Fiは“デジタル写真の整理整頓の困難さを解消すること”が目的で、そうした困難に直面しやすいのはいわゆる一般の方です。そうした一般の方へのサービス提供を第一に考えると、採用製品の数の多いSDカードタイプを優先するという判断です。Eye-Fi発売当初に比べると、そうした一般層の利用が増えていることを示すデータもあります」(Gillat氏)
――カメラとネットワークの活用、という観点では1台で完結するスマートフォンの存在をどうとらえるか。Eye-Fiに対してはライバルになるのか。あと、日本ではNTTドコモおよびKDDIと業務提携をしていますが、こちらの影響は。
「スマートフォンの存在を脅威とは考えていません。同様に通信機能を持ったデジタルカメラも脅威とは考えていません。カメラメーカーにはもっとネットワーク機能と、ネットワークサービスで何ができるかを注目して欲しいと思っています」
「日本ではNTTドコモおよびKDDIと業務提携し、クラウド連携を推し進めています。スマホ/タブレットとクラウドを使って、写真を楽しめる環境をつくりだしていくかのプランがあります。ハードウェアメーカーという印象は強いと思いますが、創業当初からサービスベンダーであることは忘れていないのです。いろいろなプランはあるので、アナウンスを楽しみにして欲しいです」(Gillat氏)
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