アイマス

鶴巻さんのアイマスをやっと見た


鶴巻さんらしい、生真面目で硬質な画面構成で、
こういうの久々に見たなぁという感じがした。
感情の揺れ動きに対して、極端に走らずに
まじめに向き合う。
メリハリよりも、その揺れ動く様を正面から描く、その姿勢。



例えば、OP明けのAパートの頭のカットからの積み重ね方一つとっても
生真面目だよね
カットの中だけの演出ではなくて、
カットの積み重ね方で感情をおっていくんだ、という
鶴巻さんの強い意志を感じる


鶴巻さんが積み重ねているのは「感情・心情」なんだよね。
そういう意味では、出崎さんに近い部分があって、
そこらへんがエヴァでの鶴巻さんの仕事っぷりに繋がってくるだろうけど、
出崎さんと決定的に違うのが、
鶴巻さんの目線はもっとモヤモヤしているということなんだ。


例えば、ロングショットの混ぜ方や
俯瞰とアオリの使い方もね、
出崎さんがグイグイいくところを
鶴巻さんは寸止めするんだ


Aパートラストなんかも良いよなぁ
番組プロデューサーが出てくるところで俯瞰気味にして
そこからアオリで「頼みますよ!」
をやってから
ロングの千早


感情を爆発させるなら、俯瞰を挟んだり、
あんなにロングの画面を用意する必要はなくて。
でも、人間の感情というのは
そんなに簡単に爆発するものではない
そんなに簡単に吹っ切ることも出来ない
(ここらへんの志向もエヴァという作品とマッチしていた)


そういう意味では、鶴巻さんもやっぱり人間を描こうとしている演出家なんだよね。
しかも、わかりやすくはしない。
「この話の目的はこうだから」とか
「このアニメはテーマはこうだから」とか
そういう単純化をした方が、
消費する分にはね、楽なんだよね。
作ってる側も見てる側も



でも、そういう単純化はしないで、
真正面から人間の感情を追っていく
しかも揺れ動いてる部分の感情を表現する。


やっぱり00年代は楽しい時代だったのかもしれないけど
ろくでもない時代でもあったんだなぁ、と
この鶴巻回を見て実感した。
味付けやメリハリが極端ではっきりしたアニメを見すぎた結果、
こういうアニメでこそ出来たはずの
「機微」が失われつつあるような。


メリハリや極端さ、あるいはどっかの誰かが言ってた「決断主義」とか
そういうものにももちろん、魅力があるんだけど
「揺らぎ」「迷い」「モヤモヤ」「ムラムラ」
みたいなものにも、間違いなく
強い魅力があるんだ