多くのグローバル企業や国内大企業を顧客とする、世界最大手のエグゼクティブサーチ会社で、近年はタレントマネジメントとリーダーシップコンサルティングの分野で実績を積んでいるエゴンゼンダーインターナショナル株式会社。グローバル化が叫ばれる中、日本企業や日本人に足りないのは、リーダーの存在だと同社代表取締役・佃秀昭氏は断言する。強いリーダーシップを発揮でき、グローバル社会で勝つためには、一体どうすれば良いのだろうか。その秘訣に迫る。

典型的なジャパニーズカンパニーが
世界で支持されない理由

「俺についてこい」タイプのリーダーは時代遅れ<br />グローバル社会で必要なのは異質な人々を束ねる力<br />――エゴンゼンダーインターナショナル株式会社 <br />佃秀昭氏【後編】つくだ・ひであき
三和銀行にて国内営業店、国際部門、人事部(部長代理)を歴任。マクラガンパートナーズにて人事コンサルティング経験の後、2000年エゴンゼンダーインターナショナルに入社。2010年11月同社代表取締役に就任。金融、サービス業等の企業に対して、人材・組織のコンサルティング、幹部クラスの外部採用を幅広く経験。東京大学法学部卒。マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院修了。

南 今私は週の半分以上はシンガポールにいるのですが、そこで現地の人に日系企業や日本をどう思っているか聞くと「日本は国もかっこ良くて人も親切で、商品も素晴らしい」と言うんです。それならなぜ日系企業で働かないのかと聞いたら、「絶対に働きたくないよ」と笑いながら言うんですよね。

「日系企業には三流の人が多いと思うよ、給料も上がらないしポジションアップも見込めない。駐在している日本人は本社の言いなりだから働きたいとは思わないね」というのが理由でした。一方で米国の大手金融企業はシンガポールで数百人規模の雇用を抱えているのですが、その中で駐在員は、わずか数名のみ。それが、グローバルカンパニーとジャパニーズカンパニーの違いなのですね。

佃 グローバルカンパニーの場合、本社や現地法人で働く人の国籍は多彩です。しかしジャパニーズカンパニーの場合は、本社の役員以上は日本人であることがほとんどですよね。各国のマーケットが分からなければ、的確な意思決定ができません。特に役員以上は多民族・多言語で、多様な価値観を持つ人員で形成しなければ、日本企業はグローバル社会で負けてしまうでしょう。

南 実際に、経営層が日本人だけで運営されている企業に対して、佃さんはどのようにアドバイスをされますか?