関東地方を中心とした計画停電が始まって早10日。停電地域にある我が家でも、すでに4~5回ほどの停電を経験した。
最初は戸惑ったが、今では毎日停電時間をチェックし、その間電気を使わなくても済むよう、スケジュールを立てるのが日課になってきている。

これは私個人の感想だが、正直なところ、「思ったほど不便はない」と感じている(もちろん、医療器具を必要とする方や、寒冷地のみなさまには大変なご苦労と存じております。あくまで、健康体で関東地方に住む私個人の感覚です)。暖房が無くても厚着をすればなんとかなるし、日中なら照明も多少暗い程度。余震発生時の情報収集も、ラジオをつければ不安はなかった。むしろ、ノートパソコンの充電時間内に仕事を終わらせようという緊張感は、集中力を高めてくれているような気さえする。


さて、全国的な節電意識の高まりの中、「自主停電」を実行しようとする動きがある。停電を回避できた日や外出時に、自主的にブレーカーをオフにするという行動だ。節電自体はもちろん、とてもすばらしいことだが、ひとつ気になるのは冷蔵庫。私の経験からは、停電中に中を覗いても、さほど変化はない(冷凍品の霜が取れる程度)ように思えたが、実際はどうなのだろう。冬とはいえ、冷蔵庫の電源がオフになっている状態で食品はどの程度の時間、安全に保てるのだろうか? 家事・節約アドバイザーの矢野きくのさんに聞いてみた。

「食材の量や外気温によるので、何時間オフでOKということを言うことはできません。
冷凍室においては、一度解凍されてしまったものが再冷凍されることは味の劣化にもなりますし、食品衛生上好ましくないことですので、3時間の停電の間でも、保冷剤(なければ冷凍温度対応可能なプラスチック保存容器などに水を入れて凍らせたもの)を用意し、冷蔵室にも冷凍室にもいれて、低温を保つようにするようにしてください」

3時間でも、食品にはある程度影響がある様子。さらに、矢野さんによると、電源を一旦オフにすると庫内の温度が上がり、それを取り戻すために、余計な電力がかかってしまうとのこと。もちろん、家全体のブレーカーを3時間程度オフにすれば、冷蔵庫が温度を回復するために要する電力以上の削減効果が期待できる。しかし、食品衛生の観点から考えると、自主停電時も冷蔵庫だけはオンにしておくか、食品に対し先に述べたような処置をした方が良いようだ。

では24時間使う冷蔵庫、どのように節電したらいいのだろうか。家電の消費電力ランキング(出典:資源エネルギー庁 平成16年度電力需給の概要)でも、1位のエアコン(25.2%)に続き、2位(16.1%)となっているだけに、その消費電力を見逃すわけにはいかない。
矢野さんのアドバイスを元に、効果が高いと思われる順に、節電方法と、そのポイントをまとめてみた。ご存知の方も多いと思うが、改めて復習してみよう。

1:設定温度を適切にする。
「高」→「中」にするだけで、年間1,360円もの節約(出典:資源エネルギー庁 平成16年度電力需給の概要)に。但し、食品の安全が第一なので、なんでもかんでも温度を上げればよいというものではない。特に、計画停電がある家庭では、あまり温度を上げ過ぎない方がよい。


2:冷蔵庫は詰め込み過ぎない。冷凍庫はぎっしり詰める。
冷蔵室に詰め込みすぎると冷気の循環がうまくいかず無駄な電力を消費してしまう。逆に、冷凍室はぎっしり詰めることによって食材同士が保冷剤の役割をし、効率よく冷やすことができる。

3:無駄な開閉はせず、開閉時間を短くする。
開閉時に、とにかく冷気を逃さないこと。
前面に市販の冷蔵庫カーテンや、透明ビニールを簾のようにかけておくとさらに効果的。朝食セット(バターとジャム等)、中華調味料セットなど、同時に使うものを一つのカゴにまとめて入れておくのも開閉時間を短くする効果あり。

4:温かいものを入れない。
冷蔵庫内の温度が上がってしまうので、食材はできるだけ冷ましてから入れるようにする。

以上、基本となる4点、みなさんは実行できていただろうか? その他にも、壁から一定距離を置いて設置すること、前面に市販の冷蔵庫カーテンや、透明ビニールを簾のようにかけておくことなど、できることはたくさんある。矢野さんのブログでも、節電方法を詳しく解説してくれているので、復習のためにも、覗いてみてはいかが?

節電意識の高まりで、すでに何度か、計画停電が回避できている。
照明やエアコンはもちろんだが、24時間稼働で私たちの胃袋を支えてくれている大切な冷蔵庫の使い方も、この機会に改めて見直してみてはいかがだろう。そして、何よりも大切なのは継続。それぞれに芽生えた節電への意識を、電気への感謝の気持ちを、計画停電が終わってもずっと持ち続けていこう。
(池田美砂子)