facebookとhotpepperの件 | 松岡よういちろうの「ハピブロ」

松岡よういちろうの「ハピブロ」

2011年9月で停止しています(引越先を作成中)

今ソーシャル上を賑わせている、
フェイスブックとホットペッパーの連携の件について。

※中村仁さんのブログ記事を参照下さい
コチラ=★★★

6月下旬この件について、
リクルート本社に3度赴き、面談やMTGを実施した者として
なるべく主観を排除して事実を述べさせて頂きます。
※すごく長いのでお時間ある時に

※HP=ホットペッパー、R=リクルート、FB=フェイスブック

今回の出来事を簡潔に箇条書きすると・・・
1)HP側が掲載店(無料含む全国)の店舗FBページを作成した
2)FBクーポンにHPクーポンが自動的に紐づいた
※逆に言うと全てのHPクーポンがFBクーポンとしても存在する

中村仁さんの記事を読んで
特に僕が問題だと思う点を抜粋すると・・・
1)店舗側がこの企画を知らずにスタートしている
2)既にFBページを持っている店舗は二重にFBが存在する事に
3)FBという貴重な媒体がその価値を落とす可能性もある

といった所でしょうか。

中村仁さんの今回の記事は
HP批判でもなんでもなく、事実に基づいた懸念を綴ったものです。
ネットと飲食店の双方に対して深い見識を常に示される
中村仁さんのこの記事は「飲食人の代表の声」だと思います。

善くも悪くも反響を呼ぶであろうエントリをすることは
非常に勇気の要る事ですし、FBのあるべき姿を想えないと書けません。

なので僕も、知る限りの事実をお伝えしたいと思います。


では順を追って、タイトル毎にエントリします。





【食い違い】

僕が初めてこの計画を耳にしたのは、6月17日(金)。
R社内で広報があった当日に、担当営業から連絡を貰いました。

この時点で決定していた事は・・・
1)HP側で店舗のFBページを作成する事(無料掲載含む全国対象)
2)FBクーポンに自動的にHPクーポンが紐づく事

担当営業は、僕がこの計画を喜んでくれると思っていました。
僕がFBに前向きに取組んでいたからです。
しかし当然ながら、僕は猛反発しました。
※このギャップも問題・・・

この時点での僕の懸念事項は・・・
1)各店舗でFBの正しい運用(顧客とのコミュニケーション等)ができない
2)その状態でFBページが存在してしまうと逆効果
3)出口としてHPクーポンを設定してもこちらに何もメリットがない
4)FBページ公開(7月~)まで時間がない(いきなり過ぎ)

営業担当ベースだとFBに対して深い話が出来ないので
上層部の人間との面談を当日、6月17日に設定して貰いました。

急遽お会いしたのは
先にお会いした事のある事業責任者クラスの方2名。
こちらの懸念材料を正直に申し上げ、
また今後の展開についても予定を教えて頂きました。

その時頂いた話をまとめると・・・
1)FBページ公開前に、対象店舗には事前に連絡を入れる
  ※事実、その日から大量の案内状を作成し始めてました
2)HP側で作成をする事について、店舗は拒否をできる
3)先数ヶ月、FBページでは「情報転載」「FBクーポン」のみの運用になる
  ※ウォールなどその他機能は当初運用しない
4)数ヶ月後より、各機能の解放について店舗側でチョイスできる
  ※ウォール機能の解放、クーポン連動の解除など(あくまで可能性)

知る限りは以上です。
せめて、1)2)が実行できていれば、
問題の半分以上は起きなかったと思います。

「事前に連絡が行き、掲載についてもチョイスができる。」
そうであれば、大きな混乱は起きないだろうと思っていました。

でも甘かったですね。信じ過ぎました。
この時点で情報を僕がオープンにしていれば、
いくつの飲食店とユーザーを混乱から回避させられたか。
責任を感じています。申し訳ありません。

【食い違い】
まずはこれが、当問題の大きな要因です。






【R社にとっての「顧客」とは】

ここにも大きな要因が隠されています。
ドラッガーの言う「マネジメント」の基本要素。

R社にとっての「顧客」とは・・・
1)カスタマー(マーケット)
2)ネットリテラシーの低いクライアント

深堀りすると・・・
1)=世の中にR社の動きを誇示する(ブランディング)
2)=クライアント属性のうち多数派を相手にする

という事でしょう。
2)に関してはビジネスでである以上セオリーですし
この部分には僕に言及する資格はありません。
ただ、大企業に飲まれる小の集団(飲食業界)である事が残念でなりません。

つまり、ネットリテラシーが高く
既にFBページを運用している(もしくはしようと考えている)店舗は
もともとターゲットではないのです。

そして、その少数派の放つ負のソーシャルストリームが
この企画そのものを広く知らしめる事も、計算済みなのかも知れません。
※そう言った意味で「顧客」なのかも(もちろん本質ではありませんが)

【僕らはR社の顧客ではない】
残念ですが、僕らは彼らのビジネスの対象ではないのです。
※グルーポン問題もこれに近いですね






【HPの内部問題】

これは僕が言及する事ではないかと思いますが、
元HPの人間として、敢えて苦言を呈します。

1)スピードが速すぎる
事業本部(上層部)の計画と実行が
現場の営業マンに降りて来るまでがタイト過ぎです。

2)顧客接点にいる営業マンが理解していない
上記にも関連しますが、その急過ぎる展開で
現場の営業マンが明らかに付いていけてません。
担当営業20名前後を集めて開催している
月例のMTGにて皆さんに聞いてみたのですが・・・
「FBやってますと言える人、手を挙げて下さい」
なんと、たった3名。。。
※6月30日(木)実施のMTG
この状況で、今回の企画を推進しようとしている事に無理があります。
店舗側が知らないというケースも、
事の重大さを理解していなかったから、伝えてなかった。
そんなケースもありそうです。

3)プライドと戦略定義のアンマッチ
プライド=日本にクーポン文化を醸成してきた
戦略定義=そしてこれからもクーポン文化を広げていくんだ
この考え方が、もはや飲食店とマッチしていません。
クーポン文化の違和感は、もはや不動産の礼金慣例クラス。
一方が絶対的に納得出来ていないモノ。
「2011年11月11日に、全国全ての飲食店からクーポンが消えます」
というキャンペーンが展開されても、世界はあまり変わりません、きっと。
※クーポン文化の役割は終えました。という記事を後日書きます

4)内部の温度差
17日に上層部との面談の時間を頂き
22日に営業統括者(FB)ともお会いし
30日に弊社の担当営業マン全員に会いました。
ぜんぜん温度が違います。
上層部の理想は、僕にも響きました。
営業統括の戦略は、僕も納得できました。
担当営業の状況は、完全に不安の中にいました。
弊社に関してはこのMTGで意識を統一できたと思いますが、
事業全体ではどうでしょう。現実は厳しいと思います。






【僕の行動】

最後に、「じゃあアンタはどうするんだ?」という話で終わります。

1)これからも、相手の懐で取引をする

この2年間、1~2ヶ月に一度、担当営業を集めてMTGをしています。
毎回、総勢20名程度。エリアを超えて横で情報を共有する。
こちらの方針や考え、戦略を全員に話す。
大きく分けるとこの2点ですが、
最大のポイントはR社の本社会議室で実施していることです。
一度も弊社で開催した事はありません。
相手のホームに敢えて踏み込んで、本気度を示しています。
メンドクサイなどと言ってられません。
その証拠に、事業責任者クラスの方とこの場で面識を持つことができ
今回のように即面談を持って意見を言える環境を得ました。
これからもこの立ち位置は変えるつもりはありません。
だって、貴重な経営資源を投資してますから。



2)情報を共有します

先に述べたように、情報を共有しなかった事に責任を感じています。
今後「これは!」という情報を得た時は、
先方に不利益を与えないよう、業界も不利益を被らないよう、
自分の正義に従って情報を共有していきます。




3)やるのかやらないのか?

最後に、僕はこの計画に対してどう行動するのか。

不幸中の幸い、弊社は個々の店舗でFBページを持っていません。
でもいずれ、持つ気でいました。
その必要性も感じています。

なので時系列で今後の予定を羅列すると
1)R社に無料でページ生成をやってもらい
2)各ブランド毎のFBページで顧客とのコミュニケーションを守り
3)機能が解放されたらFBクーポンを自前で生成し
4)各店毎で顧客コミュニケーションを守れる体制を整え
5)各ブランドと各店FBページを最大活性化し
6)ホットペッパー等への掲載費を最小化し
7)飲食FB展開でイニシアティブを握る

これが戦略です。
もちろんリスクもありますが、
ポジティブに、逆に利用して行こうと思います。






【最後の最後】

忘れていました・・・各飲食店様にアドバイスです(恐縮ながら)

1)掲載はストップできます
2)クーポンの連動だけでも止められるはずです
3)FBクーポンの利用を計測し、HP効果から差し引いて下さい






僕はインターネットは人並みに詳しいだけで、専門家ではありません。
偏った意見もあるかもしれませんが、
なるべく主観を入れず事実を書かせて頂いた事をご了承下さい。

以上、最後まで読んで頂きありがとうございます。

また後日、クーポン等についての記事を書こうと思います。


2011年7月3日
松岡庸一郎