2011年7月15日13時37分
東日本大震災の影響で、国からの研究費が3割もカットされるかも――。こんなうわさが広まり、研究者の間で混乱が広がっている。「科学研究費」と呼ばれるこの補助金を分配する日本学術振興会が出した「7割程度を支出」という通知が原因だ。
この補助金は6万人以上に年間2千億円が分配されているが、通知は「甚大な被害が生じたことから緊急に財源確保が求められる可能性」があるとして今年は研究費を分割払いし、7月に7割だけ支払うとした。
この通知を受けて東京大工学部は13日、「減額されても大学で補充はしないから、7割程度の範囲内で研究するように」という一斉メールを流した。
突然の「3割減額」で「これで海外に逃げる人が増えるのでは」「研究没頭したら生活費削れるしがんばろ」などの書き込みがネットにあふれている。140文字が書き込めるツイッターの長さを3割カットし、「今後は98文字以内にとどめる」との書き込みも。
文部科学省によると、異例の分割払いは、特例公債法案が成立していないためだ。成立すれば残り3割が秋にも支払われる予定だが、実際に減額される可能性もあり、同振興会は「問い合わせにどう答えたものか」と悩んでいる。(佐藤久恵、小坪遊)