酒が誘発する鉄系超電導のニュースが海外で逸話化

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酒が誘発する鉄系超電導のニュースが海外で逸話化

「日本の科学者が酔っ払ってワインこぼしたらなんと超電導物質ができちゃったんだって!」、「すげー!」―昨年7月、物質・材料研究機構と科学技術振興機構が発表した「お酒が誘発する鉄系超伝導」のニュースが海外でこんな逸話と化し、楽しい話題を振りまいています。

以下は日経新聞のまじめな初報。

「赤ワインにつけて一昼夜煮込むと,電気抵抗がゼロになる超電導物質ができる――。こんな不思議な現象を鉄などの化合物で発見したと物質・材料研究機構と科学技術振興機構が27日発表した。白ワイン、ビール、日本酒、焼酎、ウイスキーでも同様の効果があったが赤ワインがもっとも超電導になりやすかった。この現象を示すのは鉄・テルル・イオウの化合物で、もともとは超電導物質の性質は持たない。しかし酒に浸し,セ氏約70度で24時間加熱すると、絶対温度約8度(8K、または-265℃)で超電導状態になることが分かった」(詳しくはTech-On!で)

以下はギズ系列ブログio9の紹介記事ですよ。

タイトル「酔った科学者が超電導物質にワインをかけアッと驚く発見」

ワインで超電導物質は調子上がるみたいですよ。科学者の仕事の調子もね。

超電導物質はほとんどの金属同様、電気を通します。ただし電気の通し方にひと癖あるんです。金属はすべて、電気の流れに対しある程度の抵抗ありますよね。ところが温度が下がると超電導物質の場合は抵抗がどんどん減っていって(つまり電導率が上がる)、極低温に達すると抵抗がゼロになるんですよ。

ある日のこと、日本の国立物材研究所の高野義彦氏はじめ研究者のみなさんは、化合物に熱湯をかけて4時間漬け、超電導にする実験をやってる最中でした。化合物は水、エタノールにも漬けます。きっと順調に進んでいたんでしょうね。みんなでちょっと一杯飲み会やることにしたんですからね。

飲み会で出たのは酒、ウィスキー、各種ワイン、焼酎、ビールなど。宴会が進んだところで、ひとつこの手元にあるありったけの種類の酒に化合物を漬けて、他の普通の浸し液のものと比べてみようじゃないか、ということに相成りました。

結果得られた物質の超電導性をテストしてみたら、なんと市販の酒類に浸した方が電導率は高かったのです。水・エタノール混合液に浸した物質は約15%が超電導物質になったのに対し、焼酎は23%、赤ワインはなんと62%超も超電導になってるじゃあーりませんか。科学者たちは思わぬ結果に困惑しながらも、大喜び。

というわけで何か一口飲むと超電導物質候補も発現の調子が上がって、科学者も仕事の調子が上がる(たぶん)というお話でした。

Via Cornell

何がすごいって、この記事、公開後既にFacebookに1万4000回もレコメンドされまくってるんですね。この数字に驚いてしまったのだけど...。物質・材料研究機構と科学技術振興機構の発見はこのまま酔いどれ科学者の神話として世界の街角に永久に語り継がれていくことでしょう。-完-

Esther Inglis-Arkell(原文/satomi)