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『まおゆう魔王勇者』の続刊を待つあなたのために、今すすめたい小説

 ネット発の特殊小説『まおゆう魔王勇者』1巻が、ついに昨日、発売日を迎えました。


まおゆう魔王勇者 1「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」まおゆう魔王勇者 1「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」
橙乃 ままれ

エンターブレイン 2010-12-29
売り上げランキング : 7

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 桝田省治さんのツイートによると、Amazonで書籍ランキング5位をマークした時もあったみたいで(現在7位)、充分すぎるスタートですね。
 昨日はぼくも秋葉原の書店を巡っていましたが、午後には早くも完売していたお店があったくらいでした。

まおゆう1巻と一緒に読みたいままれ作品

 年末年始を使って1巻を読むつもりだけど、2巻の刊行まで待てない! という方も当然多いことでしょう。


 「○○のすすめ」シリーズで秀逸なエントリを量産しているよろず紹介ブログ、レスター伯の躁鬱で勧められていたのが、まおゆうが出た機会に、ネットで読める他のままれ作品を読もう!ということでした。


 まずは最新作であり、来年書籍化予定の『ログ・ホライズン』(「小説家になろう連載」)。
 さらにニコニコ大百科の「橙乃ままれ」から過去作をたどることができます。

小説家になろう」で読める橙乃ままれ

 『ログ・ホライズン』は、明確に「ライトノベル」を意識した小説になっています。スタイルが特殊な『まおゆう魔王勇者』よりも馴染みやすい人も多いんじゃないでしょうか。
 ドラクエをベースとした世界観のまおゆうに対して、MMORPGを物語の舞台にしたログホラは、ファンタジー(なかばSF)としても現代的かもしれませんね。


 「小説家になろう」のサイトデザインは、ネット小説としてはかなり読みやすい部類です。
 ブラウザやモバイルで小説を読むことに抵抗さえなければ、快適に楽しむことができるでしょう。

SSまとめで読めるママレードサンド

 次に、ニコニコ大百科で一覧できる過去作は、VIP板で「SS」と総称される形式のうち、「新ジャンル」と呼ばれるスタイルの作品たちです。


 SSというのは、けいおん!のキャラSSなどで馴染みのある人も多いはず。


 その中でも「新ジャンル」というのは、Togetterでまとめられた「「魔王 勇者」でGoogle検索すると……」の解説に詳しいです。
 一般には「女」「男」「妹」「友達」「幼馴染」などの単純な名前を使って、オリジナルストーリーを展開させる手法です。
 まおゆうはこの形式の亜種から生まれてきたんですね。


 元々「萌えの新ジャンルを作ろう」という意味合いで成立した「新ジャンル」は、ストーリー重視の作品もあるにはありますが、基本は「俺の思いついた可愛いキャラを見ろ!」というシンプルなラブコメです。


 『まおゆう魔王勇者』を読んだ人の中には、ハードで重厚なシナリオと対照的に、魔王や女騎士がやたらと可愛いブコメ描写に驚いた人もいるんじゃないかと思います。そのラブコメ要素の土壌こそが、ままれさんの出身地である「新ジャンル」だったわけですね。


 そんなままれさんの原点を知るという意味でも、個人的におすすめのSSをいくつか紹介&解説したいと思います。

 ある意味、最も「新ジャンル」らしいと言えそうなのがこの二つ。
 「とりあえずこういうキャラ属性を思いついたから書いてみた」という実験味に溢れています。
 「秘書妹」はほぼ未完のような形ですが、秘書と妹の組み合わせに可能性を感じさせる一本。

 大団円で完結してる作品ならこの二作品。
 特に「兄ハンバーグ」は妹の可愛さたるや読者が悶死するレベル。
 「先輩もう帰っていいですよ」とも共通するのですが、一見ヘタレな主人公が、かなりいい男だったりするのもラブコメ的に好ポイントなところです。

 ここから、そこそこの長編作品になります。
 黒髪娘は「兄ハンバーグ」の妹に匹敵する可愛さでマジ可愛い。
 ぼくの脳内イメージでは、高野真之の『BLOOD ALONE』のミサトみたいなロリ黒髪ロングで再生されてました。

BLOOD ALONE(1) (イブニングKC)BLOOD ALONE(1) (イブニングKC)
高野 真之

講談社 2010-11-22
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 このふたつは、まおゆうとの繋がりを感じられるという点で楽しめるかも。
 同僚女はブラック企業の社会人を描いたもの。「仕事」や「事務」に対するままれさんの見方なんかが窺えるかもしれません。
 女僧侶は、まさにDQ3的な世界が舞台になっています。ドラクエ繋がりで読む価値はありですね。

おまけの推薦『キリンヤガ』

 おすすめのついでに、ままれ作品ではない小説を、一本紹介したいと思います。


キリンヤガ (ハヤカワ文庫SF)キリンヤガ (ハヤカワ文庫SF)
マイク レズニック Mike Resnick

早川書房 1999-05
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 まおゆうと共通したテーマを、「逆」の視点から描いたSFだろう、と思う小説です。
 特にメイド姉が好きな人には読んでみてほしい!と思う一作ですよ。