世界各国のメーカーが、魅力的なスペックを備えたAndroidスマートフォンを次から次へと発売している。スマートフォンの購入を検討しているユーザーはもちろん、すでにiPhoneを使っているユーザーにとっても気になる存在だろう。品薄状態が続くiPhone 4をようやく入手した筆者だが、最新スマートフォンOS「Android 2.2」(開発コード名:Froyo)の処理性能には大いに興味をそそられている。

 Android 2.2の強化点は「Flash対応」をはじめ盛りだくさんだが、どのユーザーにとっても恩恵があるのは処理性能だろう。米GoogleはAndroid 2.2のアプリケーション実行速度を「これまで(Android 2.1)の2倍から5倍」としている。

 幸いにも6月、そのAndroidスマートフォンを心ゆくまでいじりまわす機会が筆者に巡ってきた。日経Linuxの最新号(8月号)で「Android携帯を改造する」と題する特集を担当したからだ。Androidの中核は、携帯端末向けにカスタマイズしたLinux OSである。Androidは、そのOSにミドルウエアやアプリケーション開発フレームワーク、ブラウザなどの主要アプリケーションを加えた統合環境であり、誰でも自由に配布可能なオープンソースとして公開されている。

 このオープン性を生かしてAndroidスマートフォンの能力を十分引き出す――。これが特集の趣旨である。例えば、ソフトバンクモバイルのAndroidスマートフォン「Softbank HTC Desire X06HT」を使って、管理者権限を取得しシステムファイルを入れ替える、といった“改造”を施した。さらに非公式ながら、Android 2.2のインストールにも成功。現状では、開発元のHTCはまだDesire向けにAndroid 2.2のアップデートを実施していないが、一足先に試せるようにした。

 こうした作業は、もちろん自己責任の範囲で行う必要があるので注意してもらいたい。例えば「保証の適用外になる」「アップデート通知が受けられない」「セキュリティが低下する」といったリスクが想定される。データ通信機能による“パケ死”のリスクもゼロではない。それでもオープンソースならではの自由度の高さに魅力を感じる人であれば、挑戦する価値はあるだろう。

Android 2.1の2.2倍速かった

 さて筆者の手元にあるAndroid 2.2版Desireは、8月号への掲載をもって、ひとまず役目を終えたはずだった。だがここ数日の間に、「Android 2.2は実際どこまで速いのか」との思いがわき上がってきた。きっかけは、最近、iPhone 4の処理速度に関する記事を各所で読んだからだ。