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カズのW杯終戦…今大会最長出場もウクライナに完敗

[ 2012年11月12日 06:00 ]

<日本・ウクライナ>歓喜のウクライナの選手を横目に引き揚げる三浦(左奥)

フットサルW杯決勝T1回戦 日本3-6ウクライナ

(11月11日 バンコク)
 カズのW杯が終戦した。史上初の決勝トーナメント進出を決めた日本代表は8強進出を懸けてウクライナと対戦し、3―6で敗れた。三浦知良(45=J2横浜FC)は計7度ピッチに立ち、今大会自身最長となる10分22秒の出場で攻守に貢献したが、勝利には届かなかった。一大ムーブメントを巻き起こしたカズのフットサル挑戦は終わった。
【試合結果 日本代表メンバー】

 熱く、長かったカズのW杯が終わった。日の丸の重みを背負った夢の時間は幕を閉じた。悔しすぎる3―6の現実。試合後、ロドリゴ監督と抱擁を交わす。泣き崩れる小曽戸の肩を抱きあげ、サポーターには深々と頭を下げた。それでもカズの目に涙はない。「悔しい。でも、もっと上に行くまで泣かないと決めていたんでね」。魂は最後まで前を向いていた。

 ウクライナは先月27日の親善試合(3―1)とは別のチームだった。洗練されたパスワーク、高速プレスに翻ろうされた。カズは今大会最多の7度、ピッチに立った。前半10分には星へのパスが相手の餌食となり3失点目。ぼう然とした。GK川原に背中を叩かれ、ようやく顔を上げたが、全身を悔しさが駆け抜けた。これがW杯だった。

 「俺は戦力になりたいんだよっ!」。決戦前夜、カズは心にしまっていた言葉を吐き出した。サッカー界のキングもフットサルでは新人。50センチ単位のポジショニング、複雑なサインプレーに「後悔はない。でも、もっとこっちだ!って声をかけられない。ピッチの上で引っ張れないもどかしさがあった」。葛藤の連続でもあった。

 むろん、カズの背中はフットサル代表に大きな影響を及ぼした。関係者によれば、カズの筋肉は20代の頃よりも状態がいいという。パンにバターも塗らず、揚げ物は「においだけちょうだい」というストイックさ。だからこそ今回の挑戦も成し遂げられた。その姿勢がフットサル代表を戦う集団へと変えた。

 後半、パワープレーを駆使した反撃が始まった。4点差を追いついた4日のポルトガル戦の奇跡が再び起きそうな雰囲気さえ漂った。大会前、カズが選手全員の前で誓った「最後の1秒まで諦めない」の言葉がよみがえった。初の8強には届かなかったが、それでもフットサル代表の姿は「カズ魂」そのものだった。

 45歳のW杯挑戦。メディアも巻き込んだムーブメントは今後のフットサル人気拡大を担う起爆剤になった。試合後、4年後のW杯について質問が飛ぶ。「むちゃ言わないでよ。でも日の丸の重みを感じ、素晴らしい経験ができた。12年W杯は終わったけど4年後に向けた戦いはきょうから始まるんだよ」。9月24日から過ごしたフットサル代表での日々。激動の49日間をカズらしい言葉で締めくくった。

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