【11月17日 AFP】高濃度のカフェイン入り栄養ドリンクを日常的に飲むと、アルコール依存症になって過剰飲酒の習慣に陥る危険性が極めて高くなるとする研究結果が16日発表された。

 米メリーランド大(University of Maryland)のアメリア・アリア(Amelia Arria)氏率いる研究チームは、大学生1000人以上を対象にカフェイン入り栄養ドリンクの消費と飲酒に関する調査を行った。その結果、カフェイン入り栄養ドリンクを毎日または週に1度以上飲んでいる学生では、たまにしか飲まない、または全然飲まない学生に比べて、アルコール摂取の量も頻度も多く、アルコール依存症になる確率も高いことがわかった。

 さらに、カフェイン入り栄養ドリンクの消費量が多い学生ほど、意識を失ったり、二日酔いで授業を休んだりといったアルコールにまつわる問題が多く見られ、自傷行為も起こしやすかった。詳細は、来年発行される医学誌「Alcoholism: Clinical and Experimental Research(アルコール依存症:臨床・実験研究)」に掲載される。

 これまでには、栄養ドリンクの高消費が薬物乱用および危険行為と結びついているとする研究結果が発表されている。

■米国では若者の死亡例も

 米国では、主に若者向けに販売されている栄養ドリンクの危険性をめぐり、激しい議論が戦わされている。アルコールとカフェインを混ぜ合わせた栄養ドリンクについては、ミシガン(Michigan)、ニューヨーク(New York)、オクラホマ(Oklahoma)、ユタ(Utah)、ワシントン(Washington)の5州と一部の大学がすでに発売を禁止している。

 ある研究者によると、こうした栄養ドリンク1本にはコーヒー2~3杯分のカフェインとビール3本分のアルコールが含まれており、「危険で有害」だという。

 今年8月には、運動能力を高める目的でアルコール、カフェイン、ガラナ、タウリン、アミノ酸を含んだ栄養ドリンクを飲んだ18歳の女性が、心停止で死亡した。この女性は当日、やせる錠剤も服用していた。

 前月には、女性と同じ銘柄のカフェイン入り栄養ドリンクを飲んだ学生9人が意識を失い、病院に入院するという事件があった。

 アリア氏らは、「カフェインは眠気を防いでくれる上にアルコールの影響を弱めてくれる」という誤った考えから、若者の間でカフェイン入り栄養ドリンクを積極的に摂取する傾向が強まっていると指摘している。(c)AFP/Karin Zeitvogel