2009年11月12日
10月が始まるか始まらないかという時期になると、早くも様々なクリスマス商品があちこちの店の店頭に並ぶようになる。クリスマスプレゼントといえば、家族や恋人、親しい友人たちへあげるもの――という印象がどうしても強い。アイルランドではそれ以外にも、クリスマス休暇前の挨拶として、今までお世話になった人たちやビジネスパートナーなどに、ちょっとしたプレゼントとカードを送りあう習慣がある。個人主義者が多いと言われる欧州ではあるが、この国では人との和や円滑な人間関係などにとりわけ気を使う人も多い。そのため、クリスマスの贈り物がまるで日本のお歳暮に似た役割にもなっている。
プレゼントの定番として人気なのは、カラフルな包み紙にくるまれたチョコレートやキャラメル入りの箱や缶、そしてワインのセットなどだ。クリスマス前になると、取引先などからこういった贈り物が、会社のオフィスに次々と届けられる。社内の特定の個人ではなく、会社から会社へ贈られるケースも多いので、そういう場合は社員みんなで仲良く分けて持ち帰ったり、休憩時間やランチタイムに社員食堂で一緒においしくお菓子をいただいたり……。
会社以外でもクリスマスの贈り物は、「円滑な人間関係」に役立ってくれる。日頃、それほど親しい仲ではなくても、近所の人たちとこれからもスムーズな関係を続けるために、プレゼントを渡すこともある。友人のモニカは昨年、隣家の住人にワインを持って行った。彼女のお隣りさんは夜遅くまで連日、大音量で音楽を聴くので、普段はお世辞にもお互い仲良しとはいえないらしいのだが、彼女は「隣り同士だから、お互いできるだけ気持ちのいい関係でいないとね」と言う。
さて、そんな話を友人とした後に帰宅してみれば、我が家のドアに紙袋が置かれてあった。中にはチョコレートの詰め合わせとワインが入っている。一緒に袋に入っていた走り書きのメモにはこうあった。「ワインとチョコレートです。ステキなクリスマスを!」2年に1度ほどしか会うことのない、大家さんからのうれしいプレゼントだった。「家賃を毎月ちゃんと払ってくれてありがとう」という感謝の気持ちなのか、めったに顔を出さないお詫びなのか――。この時期感じる、お互いへの“思いやり”と“分かち合い”精神とともに、年は暮れていく。
大学時代に出会ったアイルランド文学がきっかけで、1998年に単身アイルランドへ。北アイルランドを含むアイルランド国内を転々とした後、南西部(クレア州)に在住。アイルランドでののんびりライフにどっぷり浸かりつつ、この国の面白そうなものや出来事、習慣などを見つけ出すべく、いつもどこかに首を突っ込んでいる。
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