告白したらふられたので「その女の子のことを想って過去に作った短歌から選んだ158首」を紙に印刷して本人に渡したら1首ずつ感想をくれた話【前篇】

本になりました!

 

前置き

 実は、ぼくは一昨年の年末から「西村取想」という名前で短歌を作り、毎日1首以上をTwitterに投稿しています。

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今回はその短歌にまつわる話です。

 

 1ヶ月前に1年半ほど片想いをしていた女の子に告白をしたらふられました。普通だったらそこでお互いに気まずくなって関係がギクシャクしてしまうのかもしれませんが、ぼくは諦めが悪いというか打たれ強いというかタチが悪いというかなんというかなので、後日その女の子に「その女の子のことを想って過去に作った短歌から選んだ158首」をA4用紙(9枚)に印刷して「ラブレターです」と言って渡しました。その女の子は優しいというかなんというかなので「ありがとう!読んだら感想言うね!」と言って受け取ってくれました。

そしてさらに後日、ふたりでスカイプ通話をしているときに「そういえば感想まだ言ってなかったね。今から言うね」と相手が言ったので、全体に対する感想を言ってくれるのかなと思っていたら、なんと最初から1首ずつ読み上げて感想を言い始めてくれました。それがとても嬉しかったので、その一部をみなさんと共有しようというのが本記事です。

 

太字はぼくの短歌、「K」はその女の子の発言、「取」はぼくの発言、発言中の「取想くん」はぼくのことです。

 

 

ではスタート!

 

 

このからだピーマンのごと切り刻むさすればきみは好いてくれるか

K ピーマンが嫌いだったことないよ。

 


くだらない冗句で笑い合っているきみがいなけりゃ笑わないのに

K わたしはよくひとりで思い出し笑いしてる。

 


きみの住むアパルトマンを見上げてる冴えない雨に打たれながらも

K 下向いた方が雨が顔に当たらなくていいよ。

 


灰色のTシャツ一枚黒ズボン手にはエビアンきみが好きだよ

K あのTシャツ着づらくなっちゃった。

 


コーヒーが苦手だったねそういえば 平たくなったストローの口

K コーヒー苦手!

 


箸を持つきみが見つめるタコわさになりたいぼくはわさびが苦手

K 取想くんがタコわさになったら一緒にタコわさが食べられなくなっちゃうからならないでね。

 


きみの見るきみが可愛くないとてもぼくから見たらとても可愛い

K 笑

 


三日前はじめて寿司を食べたんだ玉子がおいしかった、と笑う

K プリンも美味しかったよ!

 


楽しげに話すあなたの目は琥珀 お好み焼きの底は焦げ付く

K 次は焦がさないようにしようね。

 


金色の液体啜る人中は恋に落込む滝であるのだ

K であるのだ!

 


ぼくたちは世界の隅でキスしよう主演女優は月に譲って

K 地下鉄だね。

 


石ころをきみに見立てて蹴ってみる溝ではなくて恋に落ちてよ

K 蹴られた!

 


夜風が押し出しているカーテンにきみが隠れていてほしかった

K かくれんぼ苦手だからすぐ見つかっちゃうな。

 


使ってる言語がどうも違うのだ「好き」って言葉がとても悲しい

K わたしも違うなーって思った。悲しいね。

 


次に会う約束をして死ねないねときみが笑ってぼくは死にそう

K わたしより先に死なないでね。

 


首ひねるきみの姿が見たいから世界はすべてクイズになった

K このまえ写真屋さんにからだが傾いてるって言われた。取想くんがクイズを作りすぎだから!

 


この恋はまもなく離陸いたしますシートベルトをお締めください

K 着陸した?

 


靴ひもをほどく魔法を覚えたようずくまってるきみの首筋

K だからか!って思った。

 


人生の良薬なのだこの恋はこれほど苦いものであるなら

K コーヒーの方が苦いよ。

 


なめらかなあなたのあごに思春期を赤色として刻み込みたい

K 最近ニキビできたよ。

 


会うまでの不安をすべて吹き飛ばす笑顔がすこし早足で来る

K じゃあ今度はゆっくり歩いていくね。

 


提灯が吊るされている天国できみの口許だけにある星

K ハイネケン

取 いやホクロです。

 


トルネードポテトを探すきみぐるりぐるぐるぐるりぐるぐるりぐる

K おいしいから見つけたら食べてね!

 


人混みのせいにしとこうとりあえず きみの温度を感じてる肩

K よく肩ぶつけちゃってごめん。

 


「夢みたい」つぶやくきみよ目覚めてもスーパーボールはそこにあるのだ

K あのときすくったスーパーボール、飾ってるよ!

 


誰にでも優しいことは罪だよと教えたいのさ 風は吹かない

K 誰にでも優しいのは取想くん?

取 きみです……。

 


「どうして誘ってくれたの」「それはきみのことが好きだからだよ」でキス

K 読んだあとに、でキス〜?って言った!

取 してないですもんね。

 


自分ではない男の名きみが言いこころにあらし来たなら恋だ

K わたしがYくんとふたりで牧場にドライブした話をしたとき?

取 よく覚えてますね。

 


この涙冬が来るまで我慢しようあなたは雪を好きだと言った

K このまえ雪降ったね!

 


きみと結婚したいからまず石油王の娘と結婚します

K 結婚式行くね!

取 これは第2夫人としてきみを迎え入れる計画なのですが。

K 第1夫人と仲良くできるかな?心配!

 


蚊よぼくの血で綴られた恋文を吸ってあなたのもとへ飛んでけ

K わたしたちが遠く離れてたら蚊さん大変だね。

 


最近は映画を楽しめなくなった主演女優ときみが重なり

K わたし、月になっちゃったね。

取 ?

K だって、さっき主演女優を月に譲ったのにわたしが主演女優になっちゃったから。

取 まさかの三段論法。

 


伝わらぬ想いが恋を焦がしてる半導体は熱を生むのだ

K お好み焼きだけじゃなくて恋も焦げるんだね。

 


コーヒーと紅茶を五時間かけて飲むそれでもぼくは友人のまま

K 5時くらいかな〜って思ってたら8時だったもんね、驚いた!

 


誇らしい顔したきみが皮肉だと気がつくまでの二秒を愛す

K わたしもその2秒、好きだよ。

 


どちらかが笑えばつられ笑うから笑顔の永久機関だぼくら

K そうだね!

 


振り返る 手を振るきみが目に入る 急性かわいさ中毒で死ぬ

K 死んじゃったら出棺のとき手を振るね。

 


冗談を風に乗せては見合わせた笑顔はきっと磁石なんだね

K 取想くんと歩いてるとき、わたしよく横向いて笑うなーって思ってた。磁石だったんだね!

 


世界とはあなたと他でできておりあなたに属せなかった今日も

K もっといろんなものからできてる方が楽しいよ。

 


不在票に気づかぬきみのせいで倉庫につみあがってゆく恋が

K 再配達頼まないと!

取 再配達してもいいんですか?

K う〜ん、困るかも。

 


波のおと聞きつつ眠るほっぺたに陰を与える砂城になって

取 これはきみが浜辺で寝ていたときにその顔に日が当たらないようにぼくが三角座りをして陰を生み出していたという歌です。

K ありがとう!

 


須磨浦にわかめブーケがぶちまかれあなたはきっと河童の子孫

取 これは泳げないきみに対する皮肉です。

K 気がつくのに2秒以上かかっちゃった。

 


リンスとかコンディショナーをしていない髪の毛のごと絡み合いたい

K わたし、リンスもコンディショナーもしてないけどわりとサラサラだよ。絡み合えないね。

 


蕎麦のうえたゆたっているすだちより酸っぱい恋と知ってしまった

K 恋って苦かったり酸っぱかったりするんだね。

 


楽しいね灰色のシャツ染め上げるゲリラ豪雨もあなたとならば

K 楽しかった!

 


台風が来たら電話をするからと言ったあなたにかけたい電話

K ごめん、寝て起きたら台風去ってた。

 


その肌に触れてしまえば消えるのにビールの泡はきみをめざした

K このまえ口に泡ついてるよって教えてくれたよね。ほら、消えないんだよ!

 


きみという太陽といた八月の記憶は肌を染め上げたまま

K 今度は太陽になっちゃった!

 

 

おわり。

 

 

追伸

 3時間近くかかって半分しか進みませんでした。今度後半についても感想を述べてくれるそうなので、また同じような記事を書くかもしれません。

書きました。

 

 

※「選び抜かれてこれかよw」という感想を見つけ、たしかに選び抜いてはないなと思ったのでタイトルを変えました。わざわざ「選んだ」と書いているのはその子を想って半年間で作った短歌が400首ぐらいあるからです。

 

 

これはぼくが恋愛について書いた記事たちです。

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