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 チャンネルAJER更新しました。
【『「市場」という言葉を使ってはいけない業界①』三橋貴明 AJER2012.8.21(1)】
http://www.youtube.com/watch?v=36OTLx-sA7o
【『「市場」という言葉を使ってはいけない業界②』三橋貴明 AJER2012.8.21(2) 】
http://www.youtube.com/watch?v=3PI3ch6Nbcs
またまた異論殺到になりそうな話をしています。
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9月8日(土)15時45分-長浜市長浜商工会議所主催 講演会「『日本経済ダメ論』のウソ 」開催

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 昨日は山陽小野田市でシンポジウム「企業誘致フォーラム」の講師とコーディネーター(シンポジウムの司会)を無事、務めさせて頂きました。山陽小野田の皆様、色々と良くして頂きありがとうございました


 本日は、21時からテレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」出演でございます。
http://www.tv-asahi.co.jp/tvtackle/
 相当に「激しい」番組になっておりますので、ご期待くださいませ。


 さて、デフレというのは要する「金が借りられない」「金が使われない」という問題ですが、これらは二つの指標から確認できます。すなわち、国債金利の低下と物価下落です。日本の長期金利は0.8%。コアコアCPIは相変わらず下落中でございますので、現在の日本は見事な(典型的な)デフレ環境にあります。

 というわけで、本日は「お金」について突っ込んで考えてみたいと思います。


 デフレが厄介なのは、「金が使われない」結果、他の人の所得が増えず、ますます金が使われなくなるという悪循環が発生することです。金は天下の回りものとはよく言ったもので、現在の日本は、
「金が使われないから、金を使わない」
 という、非常に困ったスパイラルの中にあるのです。


 金を使わずにどうするかと言えば、家計も企業も預金ばかりを増やしています。


【日本の家計の現預金(左軸)、企業の現預金(右軸)の推移(単位:億円)】
三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_39.html#Yokin


 家計はともかく、現在の日本は企業までもが現預金を(マクロで)増やしている異様な環境にあります。企業のお仕事は「金を借りて(銀行融資)、投資することで成長する」ことですが、デフレ環境下では銀行融資や設備投資は増えません。理由は単純に、儲からないからです。


銀行117行 2012年3月期単独決算ベース預証率調査 ~国債保有は166兆円~
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/2012/1220955_2004.html
 銀行117行の2012年3月期単独決算ベースの預証率は、調査開始以来最高の41.8%を占めた。中小企業向け貸出が伸び悩むなか、銀行は国債を中心に有価証券運用を強めている
◇        ◇        ◇
 本調査は、銀行117行を対象に2012年3月期単独決算ベースの預証率を調べた。一般的に銀行は預金により資金調達して貸し出しを行い、余資を有価証券などで運用している。預証率とは、預金残高に対する有価証券残高の比率で、金融機関の資金運用状況を示す経営指標の一つである。預証率=有価証券÷(預金+譲渡性預金)で算出し、有価証券は貸借対照表の資産の部の「国債」、「地方債」、「社債」、「株式」、「その他の証券」の合計。また「預金」と「譲渡性預金」は、貸借対照表の負債の部から抽出した。
 2012年3月期の預証率 調査開始から最高の41.8%を占める
 銀行117行の2012年3月期単独決算ベースの預証率は、41.8%(前年同期比2.0ポイント上昇)となり、調査を開始した2006年3月期以降では最も高率となった。
 これに対して預金残高に対する貸出残高の比率である、預貸率は68.9%(前年同期69.2%)に低下した。一般に預貸率が100%を下回る状態は、資金に余裕のあることを示す。銀行資金が貸し出しに向かわず、国債などの有価証券運用に重点が置かれている現状を浮き彫りにした。(後略)』


 銀行の「預証率」が過去最高を達成してしまいました。(デフレ深刻化を示しており、全く喜ばしい話ではないですが。)預証率とは、有価証券÷(預金+譲渡性預金)で計算されます。


 預証率が高いということは、銀行に預けている家計や企業の預金が、貸出には向かわずに、国債などの有価証券運用に重点が置かれていることを意味します。


 日銀は定期的に種々の銀行関連のデータを更新しています。このデータを使うと銀行の資金運用動向が把握できます。


 最新のデータを見ると、
預金残高は465兆円(2000年10月末)→608兆円(2012年6月末)と増加する一方、
貸出残高は468兆円(2000年10月末)→416兆円(2012年6月末)と減少しました。
 結果として「預貸率(貸出金÷預金)」は100.5%(2000年10月末)→68.5%(2012年6月末)と大幅に低下しています。


 家計や企業の預金はどこに回っているかというと、冒頭の記事にあるように有価証券の運用にいっています。同じく日銀の統計データを確認すると、有価証券残高は159兆円(2000年10月末)→272兆円(2012年6月末)と預金残高の伸びに比例して大幅に増えています。


 この有価証券の内、実に170兆円(2012年6月末)が国債での運用となっています。結果、財政破綻論者の方々の願いむなしく、国債金利は超低迷しています。


 銀行の役割とはなんでしょうか。


 「経済発展の理論」という著書で「イノベーション」の重要性を説いた経済学者シュンペーターは、イノベーションの実行者をアントレプレナー(起業家)と呼び、起業家に対して信用貸出を行うのが銀行の役割であると述べています。


 上記データを見る限りに、現在の日本の銀行は、シュンペーターの言う役割を果たせていないわけです。銀行の貸し出しが増えないとは、資金に余裕がある企業は「お金を借りない」、資金に余裕がない企業には「銀行側が不良債権化を恐れて貸せない」という二つの面があります。同じ現象は、今やアメリカやドイツなどでも起きていまして、結果的に国債金利がひたすら下がるという状況になっています。


 特に問題なのは、資金があれば存続できる、あるいは事業を拡張できる企業に対してまで、銀行がお金を貸さないことです。無論、銀行がお金を貸さないのは「デフレで景気が悪く、お金が返ってこないのでは」と疑心暗鬼に駆られているからですが、銀行から資金を調達できない場合、存続すべき企業までもが倒産し、失業が増え、デフレを深刻化させてしまいます。ここでも悪循環が発生しているわけです。
 
 ところで、世界的に見ると、商業銀行の有している「預金・貸出」「決済」といった機能は分解されています。ベンチャーキャピタルの担っていた「ベンチャー企業への株式投資」といった機能でさえ、インターネットとIT技術を駆使した専門業者がその領域に進出しつつあります。この辺りのサービスは、それこそ今後の日本では「成長産業」になる可能性を秘めています。何しろ、「需要はある」にも関わらず、銀行側が「供給していない」の現状なのです。


 政府がデフレ対策を実施するのは当然ですが、同時に「金は天下の回りもの」を取り戻すために、民間側も銀行の機能不全を解消するために動き出すと予想しているわけです。

 アメリカでは、新しいところではオバマ大統領が署名して成立したクラウドファンディング法案があります。


米大統領、新興企業の規制緩和案に署名-SNSでの調達解禁
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M21HCV6JIJUO01.html
 オバマ米大統領は5日、未公開企業と新規上場企業に対する証券法の規制を緩和する法案に署名した。
 大統領はホワイトハウスでの署名式典で、「米国は常に、世界で最も意欲的な起業家を擁してきた」とした上で、「彼らのうちの何人かは、きょう私と共に立っている。彼らのアイデアが根付く時、われわれの生活様式を変革する発明品が生まれる。そして彼らの起業が軌道に乗った時、雇用が増える」と語った。
 大統領はさらに、この新法は新興企業や中小企業が確実に資金調達できるようになるための「有益かつ重要な一歩」だと述べた。 (後略)』


 上記は未公開のベンチャー企業に対し、一般の個人投資家が投資できるようにする法律です。すでにアメリカには、インターネットを通じて未公開株投資を実現するSHARESPOST(https://welcome.sharespost.com/ )というサービスがあります。


 また、「決済」の分野では、Paypalというサービスがあります。
 こちらは日本でもサービスを開始しており(https://www.paypal.jp/jp/home/ )、三橋経済塾の決済は本サービスを利用しています。


 さらに、「預金・貸出」の分野ではソーシャルレンディングというサービスがあります。
 これは、2005年にイギリスのZopaという会社がスタートして以来、世界各地に広まった新サービスです。一般の投資家から資金を集め、その資金を原資として、融資を行うというサービスですね。


 日本でもすでに2008年に「maneo(https://www.maneo.jp/ )」というサービスがスタートしており、すでに40億円以上の貸出実績があるようです。このサービスが興味深いのは、インターネットを活用し小口の投資家を集め、資金を必要とする中小企業(但し、maneoの与信を通った企業のみ)とのマッチングを実現しているところです。投資家側が小口で資金を投資できるという点で、以前流行ったマイクロファイナンスの逆バージョンと言えばいいでしょうか(ちなみに、わたくしの会社も小口ですがmaneoに参加しています)。


 まだ規模は小さいですが、この種のソーシャルレンディングのサービスは、日本において既存の銀行の機能を代替していく可能性を秘めています。


 いずれにせよ「金は天下の回りもの」という「真実」を、日本国民は早く思い出す必要があります。必要なところに、必要なお金が回り、投資され、成長する(=所得を増やす)。これが資本主義の基本です。


 日本はあまりにも長くデフレが続いてしまったため、多くの国民が上記の「真実」を忘れてしまっているように思えます。結果、「借金は全て悪だ!」などと資本主義を否定した言論に引きずられ、借入を否定し、デフレの傷を深めていっています


 とはいえ、講演などで全国を回ると、現場の経営者の方々は「金は天下の回りもの」を正しく理解していることが確信できます(当たり前と言えば、当たり前ですが)。あとは「デフレ対策」を実施できる政府の人たち、具体的には政治家に「金は天下の回りもの」を思い出してもらう必要があります
 上記「真実」を政治家に思い出させる決定的なチャンス、すなわち総選挙の時期は、それほど遠い日ではありません。


政治家は「金は天下の回りもの」を思い出せ!と思われた方は

↓このリンクをクリックを! 

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