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全原発停止なら…5年後も節電の夏 関西・九州・四国

2011年7月26日3時0分

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図:脱原発の電力供給力拡大脱原発の電力供給力

 運転停止中の原発がいつ再稼働できるか見通せないなか、全原発が停止した場合に想定される来年以降の夏の電力供給力が25日、電力各社に対する朝日新聞の取材で明らかになった。今夏のような政策的な節電をせずに「原発抜き」となれば、来夏は5社で電力が不足する見通し。さらに3〜5年後も原発比率の高い関西、九州、四国の3社で不足が続く。5年先も厳しい節電を迫られそうだ。

 今夏は東日本大震災で発電所が被災した東京、東北の2社と、原発11基のうち7基が停止中の関西で供給力が著しく低下。企業だけでなく家庭にも節電を求めて需要を抑え、電力不足を避けている。

 それでも国内全54基の原発のうち、今は調整運転を含め16基が動いているが、来春にはそれらもすべて定期検査入りする。電力各社は全原発停止の場合に可能な供給力を公表していない。「原発が稼働しないケースは想定できない」「火力発電の老朽設備の復活や新設の前倒し時期が正確に示せない」などの理由だ。

 朝日新聞は電力各社が持つ発電設備から、来夏以降、どのくらい利用可能にできるかを担当者らに独自取材して試算した。

 来夏に安定供給が見込まれるのは、中部など4社。中部は計画中の液化天然ガス(LNG)火力発電所のうち一つが来年動く。東北は被災した火力発電所の復旧を見込む。北海道は需要のピークが冬という事情がある。

 東京は来夏、古い火力発電設備の復活やガスタービンの増設で対応するが、すべての原発の停止分を補えるまでには至らず、今夏の供給力をわずかに下回る。3〜5年後には川崎市のLNG火力や茨城県と福島県の石炭火力が稼働しているが、それでも十分な供給力の確保とはいかない。

 3〜5年後も電力不足が見込まれる関西、九州、四国3社は、原子力への依存度が高い半面、休止中の古い火力発電設備が少ない。今から発電所を新設するには10年近くかかり、5年後には間に合わないという。

 一方、電力各社は来夏以降の供給力に自然エネルギーの上積みを期待していない。太陽光や風力での発電は、政府が導入をめざす全量固定価格買い取り制度が実現すると急増する可能性もあるが、普及に時間がかかるとみている。

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