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〈メディア激変10〉生まれつきデジタル―3 現実の対面につながる

2010年4月9日20時48分

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写真孫正義・ソフトバンク社長(左)と対面した梅崎健理くん=東京都中央区、高波淳撮影

 先月28日の日曜日。福岡の高校生「うめけん」こと梅崎健理くん(16)は、東京・汐留のソフトバンク本社にほど近いホールにいた。同社創業30周年の記念イベントに参加するため、この日朝、福岡から一人でやってきた。

 「若い意見を吸い上げられるのがツイッター。どんどんいい輪を広げたい」

 司会者から紹介された梅崎くんは、約1400人が詰めかけた客席から、壇上の孫正義社長(52)に向けて話した。

 「将来は、上京したのち、福岡に戻って起業して、雇用を創出することが夢です。ぜひ、いつか孫さんにお会いしたいです!」。梅崎くんは昨年12月27日、3日前にツイッターを始めた孫社長あての投稿をした。

 かつて福岡で起業した孫社長を一つのモデルに、将来を思い描く梅崎くん。これがきっかけで、互いにフォロワー(読者)になるというネット上の接点ができた。

 孫社長は16歳で渡米、人生の転機を経験した自身を振り返り、同じ年で「ツイッターと巡り合った彼の人生に興味がわいた」。記念イベントの中で、フォローの理由をそう説明した。

 ツイッターの横につながる情報発信が、現実の対面に結びついた。

 梅崎くんの父親は大学の研究者で、その研究室が遊び場。4歳ごろにはキーボードに触り、小学校1年でインターネットを使い始めていた。ITブームのピーク、2000年のことだ。

 4年生のころには、友だちと一緒にホームページをつくっていた。ただ、誰かに教わったり、本を買って勉強したりしたわけではないという。「わからないことがあれば、検索すれば出てきますから」

 ネットがあることが当たり前の、デジタルネイティブ(生まれつきデジタル)な小中学生時代を過ごした。

 高校生の今は、放課後や週末、福岡の様々なビジネスの勉強会に出かけて行き、ツイッターを通じて人の輪を広げている。スーツを着込んだ参加者の中で、梅崎くんは一人、学生服。自作の名刺を手に、自己紹介を繰り返す姿は目立ちもし、話題にもなる。

 その中で、ITを活用した福岡の活性化に取り組むコンサルタント会社役員の杉山隆志さん(43)と出会う。杉山さんらは、福岡市の繁華街・天神や、隣接する大名地区で、地域の観光情報や店舗情報の発信などに取り組んできた。

 そして今年、新しい試みを始めた。ツイッターを使い、街と人をつなげるイベントだ。(編集委員・平 和博)

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