【安藤武博】そう感じさせてくれるプロデューサーさんです

前編: 大ヒットゲーム【ケイオスリングス】の成功を探る!スクエニ安藤武博氏インタビュー。 AppBank

後編: ケイオスリングス続編は開発中!スクエニ安藤武博氏インタビュー。 AppBank

「倉西さん、iPhone Peopleではよく書いていただいて、ありがとうございました」。

記憶にありませんでした。怪訝な顔をした僕に、安藤さんは……。

「傑作って、書いてくださったじゃないですか」。

確かに、そう書きました。でも、僕はそれを褒め言葉だとは思っていませんでした。「ケイオスリングス」が実現したもの、残した結果から考えれば、傑作という表現がおおげさだとは思えませんから。まちがいなく、2010年のiPhoneゲームを代表する傑作でしょう。むしろゲームメディアに身を置く人間として、このタイトルについて電撃さんもファミ通さんもこれくらいのとり上げ方しかできなくてすいません……という気持ちの方が強いです。

これまでのおよそ20年になるゲームライター暮らしの中で、何人もの「プロデューサー」さんに会ってきました。一言でプロデューサーといっても、当然、いろんなタイプの方がいます。そんな中で、僕が「この人は本物だ」と思える人というのは、そう多くはいません。「本物だ」という言葉は陳腐ですが、編集長のころは「この人のタイトルは無条件でページをとる」というふうに置換して考えていました。

安藤さんは、そういうプロデューサーさんの一人です。

もう少し詳しく書くと、まず、そのコアの部分で自分のタイトルをおもしろがっています。もちろんおもしろがれるものを手がけているということもあるかもしれませんが、自分が進めているタイトルと自分自身の距離感のようなものを、いろんな方法、視点で楽しんでいる気がします。ずっぽりハマり込んでいくこともあれば、突き放して冷静に見ることもできる。その振幅の幅の広さと、振り子が振れるスピード感、テンポ、リズム。音楽の善し悪し、好き嫌いを判断するように、僕はそれらを感じ取って、「うん、この人は本物だ」という判断をしています。

安藤さんとの会話は、まるで音楽を聴いているようです。僕はその曲が好きなので、僕にとって、安藤さんが手がける、あるいは口にするタイトルに、まちがいはないのでしょう。

こう書きながら思い出したのですが、たぶん、社内的な組織は違うと思うのですが、安藤さんはSQEXさんの、「とある方の筋」に連なる人です……たぶんw そして、僕も心の中では(こっそりと)その方の筋の末席を汚させていただいているという自覚を持っています。その方については伏せますが、おそらく今、日本のエンターテインメント業界の中で最強のプロデューサーの一人です。個人的なことで恐縮なのですが、安藤さんとは、そういう「思想的な血のつながり」のようなものも感じます。

これからも、大期待しています。

※「ケイオスリングス」をAppStoreで
CHAOS RINGS for iPad - SQUARE ENIX Co., LTD.