大学生になって、お金のことをすべて自分で管理しはじめたとき、なにか大きな力を与えられたように感じたことを覚えていますか? たとえば、公共料金を自分で支払ったり、銀行の口座を作ったり、自由に買い物をしてみたりといった時です。しかし、それは同時にお金のことで大きな失敗をする可能性を手にした時とも言えます。あなたがお金の扱い方について何も知らず、不注意であった場合には特にです。

筆者が、現在パーソナル・ファイナンスに興味を持っている理由の1つは、パーソナル・ファイナンスのあらゆるルールを破ってきてしまったからだそうです。もちろん意図的にではなく、ただ若さゆえ、愚かさゆえにです。この記事を読んでいるということは、かつての筆者よりはいくらか賢いはずですが、これからお話する彼女の経験談を参考に、ぜひ賢いお金の扱い方について学んでください。

以下に絶対に避けるべき「お金の間違いTOP5」をご紹介します。もし、あなたがこれらの間違いをすでにしてしまっているとしても、どうやって軌道修正したらいいのかも説明するので、参考にしてみてください。

 ■自分をよく知る人からのアドバイスを無視する

幸運なことに、筆者にはお金に関して賢明で責任感のある両親がいました。彼らは賢いお金の扱い方を教えようといつも努力してくれたそうです

しかし、筆者は当時、経済的にもその他の面でもとにかく自立して生きたいと考えていたため、両親の懸命なるアドバイス(お金の一部を定期預金に入れなさい、など)にまったく耳を貸さなかったとか。「一人前の大人」でありたいと願うあまり、両親のアドバイスを無視してしまったわけです。ばかげている? その通り。若さとは愚かなものなのです。

軌道修正:アドバイスに耳を傾け、自分自身を教育する

あなたの両親も雑誌もウェブサイトも、正しい道を指し示してくれています。しかし、あなたが聞く耳を持たなければ何の意味もありません

自立することはあらゆるものに反発することではないのです。音楽やファッションなどは自分なりのやり方でいいと思いますが、お金に関しては守るべき基本的なルールというものがあるのです。筆者が学んだ最大のルールは、自分のエゴ(と他人のアドバイスを聞きたくないという欲求)をわきにどけろ! ということ。両親など、自分をよく知る人からのアドバイスには素直に耳を傾けるようにしましょう。


■何も考えずクレジットカードを使う

クレジットカードには正しい使い方というものがあります。これは、初心者向けのレッスンでもあります。

筆者は、大学キャンパスにずらっと並んだクレジットカード会社のテーブルを覚えているとか。彼らは学生たちの気を引こうと、フリスビーやドリンクなどを配り、今すぐ入会すればプレゼントを差し上げます、と言っていたそうです。筆者は、1日で4つのクレジットカードに入会してしまったとのこと。これはまったく馬鹿げていますが、よく起きることなのです。

クレジットカードを持つこと自体は悪いことではありません。支払い方法の1つというだけです。カードによっては、様々な特典やサービスがつくこともあります。しかし、クレジットカード会社は、学生たちがまだクレジットカードの扱いに慣れていないからこそ、彼らをターゲットにしているのです。哀れな学生たちは、買う余裕のないものについ手を出してしまったり、思いつきで契約したサービスの料金をそのままずっと払い続けてしまったりします。

筆者は、無駄な買い物のために5000ドル以上は使ってしまった可能性があるとか。どんなに買い物をしても毎月の支払額がわずか15ドルだったため、安い買い物だと思い込んでしまったのです。最終的に総額でいくら支払うことになるのかを全く把握しておらず、また、支払い額が雪だるま式に増えていくことを知りませんでした。

とにかく毎月、支払最低額の15ドルだけ払えばいいのだと高をくくり、預金残高が足りない場合でもクレジットカードで買い物してしまったそうです。これは典型的な「やってはいけないこと」であり、マネー講座の初歩の初歩でしょう。

軌道修正:クレジットカードの負債をきちんと管理する

新しいアパートを契約したり、車のローンを組んだりなど、クレジットカードで何か大きな支払いをしようとしたとき、あなたのこれまでのクレジットカードの使用状況が問題となります。クレジットカードヒストリーが審査され、突然あなたの負債のベールが剥がされるのです。

クレジットレポートやクレジットスコアを入手し、利子の一番高いものから借金の返済を始めてください。金利が高いと、負債は雪だるま式に増えていきます。そのことによく注意して。どの負債から返済すればいいかを見つけましょう。

いずれ「わかった!」という瞬間が訪れます。良いお金の扱い方と悪いお金の扱い方の間には明確な一線があるのです。クレジットカードは好きなだけお金が出てくる打ち出の小槌ではなく、汗水たらして働いたお金と同じなのだと気づく必要があります。このことはきっと、新車を購入しようとしたり、新しいアパートを契約しようとしたときに、あなたのクレジットヒストリーのせいで契約を拒否されたときにわかるでしょう。こうした手痛い経験が重要なターニングポイントになるのです。


■クレジットカードで現金を引き出す

クレジットカードを使って、銀行の窓口やATMから現金を引き出すこと(キャッシュアドバンス)は、よく陥りがちな罠のひとつです。悪質とさえいえるケースもあるので、注意が必要です。たとえば「金利0%で今すぐお金を引き出せます」と書いてあったとしても、よく見ると細い字で「手数料が3−5%かかります」とか「金利0%なのは一部だけです」などと書いてあることがあります。

また、キャッシュアドバンスには最高水準の金利が適用されることにも要注意です。緊急でお金が必要になったときに、クレジットカードでお金を引き出すことは、手軽でリスクも低い方法に見えますが、これもまたやってはいけない愚かな間違いなのです。

軌道修正:クレジットカードをよく理解する

クレジットカードは賢く使いましょう。ほとんどの人がクレジットカードによる支払いとキャッシュアドバンスの違いを理解していません。クレジットカードでATMから現金を引き出すと、金利も高く、最終的にはより多くのお金を支払うことになります。また、金利などの条件はカード会社によって異なります。一度他のクレジット会社から送られてくる、バランス・トランスファー(残高移行)の勧誘の文書をじっくりと読んでみてください。あなたのカードよりも条件が有利なカードがあれば、残高移行も検討しましょう。


■クレジットカードの負債を返済するためにIRA(個人退職年金)からお金を引き出す

増え続けるクレジットカードの負債をなんとかするため、筆者は安易な方法に手を出してしまったそうです。それは、クレジットカードの負債を減らすためにIRA(個人退職年金)からお金を引き出してしまったこと。

あなたがまだ若いなら、あなたの最大の財産はその若さです。とくにお金に関して言えば、あなたが将来にかけて持っている時間こそが利益を生むのです。それは「複利」があるから。

クレジットカードの負債を返済するためだけに、IRAのような長期的に成長が見込める金融資産をとり崩してしまうのは、まったく愚かな間違いです。筆者はIRAからお金を引き出したばっかりに、将来への価値ある投資を目減りさせたばかりか、預金の早期引き出しによる罰金を10%も課せられてしまったのです。IRAからお金を引き出すことは、一番やってはいけません。

軌道修正:退職貯蓄を埋め合わせる

失われた時間を取り戻すことは困難です。筆者は、IRAの損失分を補うために毎年の退職積立額を増やすことにしたとか。これは、IRAのほうへ自動的に流入され、損失分を埋め合わせられます。


■計画がなくてもうまくいくと考える

将来のお金に関することを事細かく決めておく必要はありませんが、人生設計をもとにファイナンシャルプランをよく検討しておくことは大切です。あなたが人生で求めていることは何か? をよく考えて、何にどれだけお金を使うのか、いつまでにどれくらい貯金するのか、また、そもそも何のために働くのかなどを、優先順位をつけながらよく検討してください。そのとき自分に「結局のところ、すべては何のためか?」と、問いかけてください。

また、あらかじめ計画を立てておけば、それが実現可能かどうかがわかり、もしそうでないなら、どこを変更すればいいのか考えることもできます。

筆者は、あるときキャリアを変えようと思いたち、試行錯誤の結果、無事キャリアプランの変更には成功したものの、ファイナンシャルプランの変更を怠ってしまったがために後で苦労することになったそうです。

軌道修正:ファイナンシャル・ゴールを決める

筆者は、これまでの人生経験の中で、自分の望みを叶えるための最も強力な方法の一つは、自分が何を望んでいるかを明確に定義することだ、ということを学んだとか(ノートに書き出し、定期的にレビューを行えばより効果的)。

これは、ファイナンシャルなゴールにも当てはまります。家を買うとか、家族のために55歳までに500万ドル貯めるだとか、リタイアするための基盤をつくっておく、などもそうです。ゴールを設定して、そこへ至るための計画をしっかりと練っておきましょう。計画もせずに夢ばかりを描くことも、また愚かな間違いだと言えます。


■あなたの場合はどうですか?

以上が筆者の選ぶ、お金の間違いTOP5です。あなたはお金に関してどんな間違いをしましたか?

Melanie Pinola(原文/訳:伊藤貴之)