Windows 7/8.1からWindows 10への無料アップグレード通知画面に、ようやく「アップグレードを辞退する」という選択肢が追加された。これは米Microsoftが6月29日(現地時間)に予告していたもので、日本マイクロソフトも7月1日(日本時間)に変更を正式発表した。
同社が変更したのは、「Windows 10を入手する(Get Windows 10)」アプリ(以下、GWXアプリ)の通知画面。同アプリはWindows Updateにより自動でWindows 7/8.1搭載PCへインストールされ、タスクトレイに常住してWindows 10への無料アップグレードの告知を行い、ここからWindows 10のインストールを予約・実行できるというものだ。
同アプリは無料アップグレード期限の2016年7月29日に向けて、より多くのユーザーをWindows 10に誘導するため、何度かの変更が行われたが、変更の度にアップグレードのキャンセルがしにくくなっていった。
具体的には、ユーザーが予約していなくても「アップグレードの時間を自動で指定」するようになったことが5月に発表され、不意にアップグレードが始まってしまったというユーザーの報告が相次いだ。また、同アプリの通知画面で右上の「×」ボタンを押してもキャンセルにならず、アップグレードを承認したことになってしまう点、通知画面内にキャンセルボタンがなくキャンセル方法が分かりづらい点も混乱を招いた。
強引なアップグレードへの誘導は世界的に問題となっており、日本では6月7日に、Windows 10へのアップグレード策が法的に問題ないのかという参院議員の質問主意書に対して、政府が答弁書で「答えるのは困難」と回答を避けた。また、6月22日には消費者庁がWindows 10への無料アップグレードについて、「確認、留意が必要な事項」としてニュースリリースを公開している。
こうした状況を受け、ついにGWXアプリはWindows 10へのアップグレードを望まないユーザーにも配慮した変更がなされた。変更は順次表示されるようになるという。
7月1日以降の新しい通知画面には、従来の「今すぐアップグレード」「日時を指定」に加えて、「無償アップグレードを辞退する」の選択肢が並んでいる。また、右上の「×」ボタンを押した場合にアップグレードはスケジュールされない仕様になった。ただし、「×」を押しても、今すぐアップグレード、日時を指定、無償アップグレードを辞退する、のいずれかを選択しない限り、GWXアプリの通知画面は定期的に再表示される。
日本マイクロソフトは、ユーザーの環境によって、アップグレードの予約が自動で設定されている場合や、全画面でWindows 10アップグレードの通知が表示される場合もあり、それぞれのキャンセル方法を公開している。
同社はWindows 10へのアップグレードを推奨する理由として、使い慣れた操作感、パフォーマンスの向上や新機能、そしてセキュリティの強化を挙げている。
Windows 10は7月29日の無料アップグレード期間を過ぎると有料になる。Microsoft Storeの直販価格は「Windows 10 Home」が1万9008円、「Windows 10 Pro」が2万7864円だ(いずれも税込)。
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