「ガクドリ」見て死ぬほどイライラしたよ


赤城山大学に一浪で合格したマサキは自動車教習所で出会った美人教官・菜々子に一目惚する。偶然にも菜々子は赤城山大学の卒業生かつ自動車部のOGであり、バリバリの“ドリフター”だった。ドリフトどころか自動車のことすらわからないマサキであったが、親友・熊太郎の存在や、強面な先輩・今井との対立のなかで、自分でも知らなかったドリフトの才能に目覚め始める――。

『ガクドリ』作品情報 | cinemacafe.net

MOVIX宇都宮にて。


もうびっくりするくらい最低の作品。これを商用作品としてシネコンでかけること自体がもはやテロ行為だとわたしは思います。
ストーリーに直結するわけではないのにやけに本格的なドリフト映像と、その合間に垂れ流される魅力のかけらもない登場人物で描かれる繋がらないストーリー。
ずっとイライラしながら鑑賞したせいか、観終わった時には頭痛がひどくて泣きたくなりました。


(以下ネタバレ込みの感想)

まずはストーリーのおさらい。


主人公マサキはまったく車に興味がなかったのですが、大学に入る前に通った自動車教習所の教官「菜々子」に一目ぼれしたことをきっかけに大学の自動車部に入ることを決意し、「ガクドリ」という学生を対象にしたドリフトの競技大会への参加を目指すことになります。
大好きな菜々子に注目されたいという中学生みたいな動機で自動車部に入ったマサキは、部長が話してくれた自動車部の創設に関する寝言みたいな秘話を聞いて感銘を受けて少しやる気になります。ホントにちょっとだけ。


そんなやる気に満ちたマサキは「ドリフトするぞ!」と息巻いたものの、マサキは自分の車をもってないので友だちの車を借りることに。
友だちの車を借りるんだからもっと申し訳なさそうにすればいいのに、いつも好き放題乗り回すだけ乗り回してメンテナンスは一切友だちに任せっぱなしという投げっぱなしジャーマンスープレックス状態。いくらなんでもそれはひど過ぎるんじゃ...と思って見てた矢先に、その態度のなってなさを先輩に叱られるマサキ。叱った今井先輩GJ!!と喜んだのもつかの間、その意味を理解しようとせずにただふてくされるだけのマサキ。そして先輩の忠告も空しく、友だちの車はマサキの雑な扱いによって壊されてしまいます。最低!!


その後、今井先輩に「お前のはドリフトじゃなくてただ滑ってるだけ」と言われて悔しくなったマサキは、菜々子に泣きつくことに。
菜々子から貴重なヒントをもらったものの、練習する車もないので途方に暮れるマサキ。他人の車を壊しておいて「練習するにも車が無い...」と壊した車の持ち主である友達に相談している時点でマサキが最低なのはもう疑う余地もありません。

本気で車に乗りたいならバイトしてでも買えよ!!


結局、"車を壊された友だちのおじさん"が以前タクシーを運転してたらしく、でも最近はもう乗ってないからな...ということでそのタクシーを直して乗ることに。ところが、そもそもマサキは車にまったく興味がないので自発的にそのタクシーを直すようなことはしません。なんと自分はバッタを追いかけて遊んでいるうちに友達が全部直してくれます。一度はその友だちの車壊してるんだからさ....。そこはもうちょっと頑張れよ!!マサキ!!


もうこのあたりでマサキに対する感情に殺意が混じりはじめますが、宮崎あおいの笑顔を思い出して我慢。


宮崎あおいは最高だ。マジ天使。


車を直すのは大して手伝わなかったくせに、意気揚々と友だちが直してくれた車でドリフトの練習を始めるマサキ。

そんな練習の成果もあって徐々に運転がうまくなった(らしい)彼の練習風景の動画が自動車部の部員たちの観ている前で流れるのですが、普段から嫌われているのかびっくりするくらい部員のひんしゅくをかうマサキ。「あの野郎!調子に乗りやがって!」とか「少しうまくなったからっていい気になってる」とか、本人のいないところで散々に言われる始末。


「はたして本当にマサキはこの作品の主人公なのか?」


そんな不安が湧き上がってくるほど最低でナチュラルに嫌われまくっているマサキ。主人公がこんなしょうもない映画、おれ見たことないよ...。


そんな彼の状況を知った今井先輩が「少しうまくなったくらいの時が一番危ないんだ」と意味ありげな発言。

これはマサキの鼻っ柱が折られるのか!と期待してた矢先に事故が起こってしまいます...が、何と事故ったのはマサキではなく今井先輩。


(; ・`д・´)ナ、ナンダッテー !?(`・д´・ (`・д´・ ;)


なぜか峠でマサキと今井先輩のバトル(車の方のバトル)があって、その時に今井先輩が事故ってしまった様子。
今井先輩...。
ちなみになぜマサキと今井先輩がバトルをすることになったのかは最後まで明かされることはありませんでした。ちゃんと理由教えてくれよ...。


元から嫌われていたマサキはこの件をきっかけに他の部員との軋轢が決定的なものとなるのですが、なぜかそのタイミングで今井先輩とマサキにガクドリに出られるという案内が届きます。え?この流れでなんで??
ところが先の事故で車を失ってしまった今井先輩はガクドリへの出場を辞退することになるのですが、そのことがマサキに対する部員たちの怒りを煽ることになり、いつの間にかその怒りは最高潮に達することになるのです。


そんなある日。嫌われているくせに自動車部の飲み会に平気な顔で参加している厚顔なことこのうえないマサキに、他の部員たちから「普通に走ったら今井先輩が負けるはずがない」「お前がずるいことをしたに決まってる」という言いがかりがつけられます。さらに、じつは今井先輩は心臓が悪くて今年のガクドリ後に退学する予定だったことを聞いて落ち込むマサキ。珍しくマサキが反省してる....と、思いきやケンカを売られると速攻でキレるマサキ。やっぱダメだこいつ。。。


飲み屋で部員たちとさんざんケンカをして心身共にボロボロになったマサキは傷心を抱えて部室へと戻り、ごみ箱かなんかを蹴っ飛ばしてからソファで寝だしたのですが、その後、ちょっとしたことがきっかけで部室が燃えてしまうという事態に陥ります。
火が大きくなるその直前まで寝てたくせにやけに冷静に起き出して消火器で火を消したマサキ。彼はその後どこかのスーパーの駐車場で夜を明かすことになります。そしてそのまま行方をくらますマサキ。


そして翌日。

火事に対する処罰として「犯人は退学にするから名乗り出ろ。名乗り出なければ自動車部は廃部。」という大学からの声明が出されます。
特に根拠もないのにそこにいた部員が満場一致でマサキを疑ったのはさすがにどうかと思いますが、これも日頃の行いと思えばやむを得ないと言えます。わたしだってもし部員たちと同じ立場だったらマサキが犯人だと思うだろうと思います。
しかも実際そうですしね。

以前車を壊された友だちが「マサキはどこにいるんだ」と聞かれるものの「マサキと連絡が取れないんです...」といって「もしかしたら失踪しちゃったのか」「もしかしたら自殺まで...」と一気に不穏な空気を漂わせるのですが、その1分後くらいにあっさりとマサキが発見。何とも超スピーディーな展開です。


「この火事はお前がやったのか!」と問われたマサキは「酔っぱらってたからよく覚えてない。気付いたら駐車場にいた」という的を射ない回答でいったんお茶を濁すものの、結局は多分俺がやったと白状。前後の状況から考えても絶対覚えてるだろうし実際お前が犯人じゃないのか!


とりあえず大学の処罰は「火事の犯人は退学」なので、"これでマサキは退学になるのか....主人公がいなくなるとか破天荒過ぎるだろ..."と今後の展開に想いを馳せていると突如今井先輩が登場。


「マサキ!俺と勝負しろ!」


工工エェ(´Д`)ェエ工工


この流れでそれ??とびっくりし過ぎてピクピク痙攣しそうになったもののなんとか落ち着きを取り戻しました。

闘いを挑んだものの、今井先輩の車は壊れていて使えませんので同じ部員の友だちから車を借りて勝負をすることになるのですが、この勝負で二人が何を賭けていたのかをちょっと忘れてしまいました。が、とりあえずマサキと今井先輩はまたもやバトルをすることになるのですが、普段もそれほど練習もしてなさそうなマサキが圧勝してしまうという悲しい展開が待ち受けています。今井先輩...。
負けてしまった今井先輩は「あいつは速かった」と悟りを開いた人みたいなすっきりした顔で、「部員のみんなをガクドリに連れて行ってくれ」とマサキに話しかけます。どうやら元々大学を辞めるつもりだった今井先輩がマサキの代わりに火事の罪を負って退学することになった様子。
そしてそのまま友だちの車で走り去る今井先輩。なんで人の車に乗って帰るんだよ...。


このバトルをきっかけに、部員たちのマサキへのわだかまりは一切無くなったらしく「俺をそいつに乗せてくれ!」とか「俺をガクドリに連れて行ってくれ」*1みたいな気持ち悪いセリフを気持ち悪い笑顔と共に見せられることになります。この異様な作品の中でもとりわけ気持ち悪いシーンがここ。
みんなに慕われていた今井先輩が大嫌いなマサキの罪をかぶって退学したっていうのに、そのマサキに笑顔でみんなが駆け寄るというのが心底気持ち悪い。冗談抜きでPTSDどころの騒ぎではありません。何なのこれ?


でまあ、ガクドリ出ておしまいって話なんだけどさ、もうマサキが最低過ぎてぶん殴りたいとかいうレベルじゃありません。脳のどこかに異常をきたしているレベルですよ、これは。
しかも恐ろしいことにストーリーはこれだけではありません。マサキ以外の人にスポットを当てたストーリーもありまして、↑の天真爛漫というにはあまりに無責任なストーリーの隙間に小さな爆弾のようなストーリーがたくさんねじ込まれています。もう話グチャグチャ。


結局マサキにドリフトの才能があるかどうかも怪しかったし、単なる脳みそお花畑な大学生の奔放過ぎる毎日を眺めるだけの作品でした。
ストーリーまとめただけで疲れた...。


公式サイトはこちら

*1:ここでいう乗せてってくれとか連れてってくれという発言は、物理的な行為を指すわけではなく、一緒に行こうぜ!的な意識を表したものです。