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朝日新聞書評 (2011-)

 なぜか突然、また朝日新聞の書評委員を務めることになってしまった。その他の書評委員は、斉藤カンとか柄谷行人とか。前は仲良くなれそうな委員が多かったけれど,今回はどうかなあ。

 進み方は前と同じ。隔週で委員が集まって、編集部の人たちが選んだその期間のめぼしい本の一覧を渡されるので、その中で自分の読んでみたい(そして書評してみたい)本を、丸~三重丸をつけて選ぶのだ。もし自分として推薦しておきたい本があれば、事前に言っておけばそれが含まれることになる。で、バッティングしたら、丸の多い方が優先、丸の水準が同じなら、出席している人が優先、それでも決着しなければ、まあ大人ですから適当に譲り合ってきまる。そして気が向けば 400 字か 770 字で書く (紙面構成が変わったせいか、前より字数が減ったんだよね)。月に一本くらいは最低書け、ということになっている。もし読んでつまらなかったり、あるいは自分にはきちんと書評ができないということであれば、次回の会議で放出。他に読んでみたい人がいたら、その人に書評権が移る。

 書評の対象になるのは、発行から 2ヶ月以内の本。そうでないと店頭から引き上げられてしまって、地方部での入手が困難になるから、だそうな。だから原理的にいえば、嫌いなやつの本が出ていたらそれを抱え込んでしまえば、いずれ時間切れになってその本は書評されない、ということもできなくはない(が、それほどみんな暇じゃねーよ)。あと、書評委員の著書は、公平さのため書評対象にはならない。それと、再刊ものは原則としてダメ。20 年絶版だった名著が再刊、くらいならオッケーだけれど、2 年前の本が文庫落ちでは絶対ダメですな。委員会に欠席したら、事前に候補本一覧を送ってくれるので、当日までにそれに丸をつけて提出すればいいので、別に出なくてもいい(が、たまには顔を出すように、とのこと)。出席すると、お弁当が出るのと、足代が出るのと、終わったあとに飲み会があるのとがよいこと、かな。てな感じ。

 前回も思ったことだけれど、朝日新聞の書評委員はえらい先生などが多いので、お堅い理論書や哲学書はみんなやりたがるけれど、下世話なビジネス書はだれもやらないんだよね。ユニクロ本も、ぼく以外だれも手をあげなかったし。だからざっと見渡して、ぼくが守備すべき範囲となると、ビジネス書全部、科学書の半分、工学書全部、変な文学、経済書の三分の一、哲学の二割、他に分厚い本、他の人が拾いたがらない火中の栗、というところ。要するに……全部ですねえ。

 あと、今回初めて知ったもう一つの制約条件。ある著者の本を一回採り上げたら、その後半年だか一年だかは基本的には採り上げないとのこと。「xxxの本ばっかやってる! 利益誘導!」と言われないようにするためだそうな。昔あったかなあ、こういう規制。でも基本的なスタンスとしてはよいと思う。一応、朝日新聞の書評に掲載されると多少は売り上げもアップするそうなので、勘ぐられないのも大事でしょ。むろん、どうしてもこの本をやらないと、というのがあれば検討はしてもらえるとのこと。とはいえ、このせいでナボコフ全短編集とかは(新版だという意味でもナボコフすでにやったという意味でも)たぶん採り上げられることはない。

2011/04-06

カーネマン『ダニエル・カーネマン心理と経済を語る』、 ナボコフ『ローラのオリジナル』&秋草俊一郎『ナボコフ 訳すのは「私」』、 横田増生『ユニクロ帝国の光と影』、 堀田典裕『自動車と建築』、小野原教子『闘う衣服』&山本耀司・満田愛『MY DEAR BOMB放出した本についてのコメント

2011/07-09

根本祐二『朽ちるインフラ』、杉山昌弘『気候工学入門』、ブランド『地球の論点』、ファレル『ムッソリーニ』、コーエン『創造的破壊』、フラウエンフェルダー『Made By Hand』、ギンタス『ゲーム理論による社会科学の統合』、グリーン『隠れていた宇宙』、 放出した本についてのコメント

2011/10-12

シェーン『起業という幻想』、アーサー『テクノロジーとイノベーション』、アイザックソン『スティーブン・ジョブス』、ポッター『Cookign for Geeks』日下部他『味わいの認知科学』、マクゴニガル『幸せな未来は「ゲーム」が創る』, 『2011 年の三冊』、 放出した本についてのコメント

2012

ベイルズ&オーランド『アーティストのためのハンドブック』、G・エスピン=アンデルセン『平等と効率の福祉革命』、パルヴェーズ『イスラームと科学』、ヒース『資本主義が嫌いな人のための経済学』、ウォールセン『バイオパンク』、瀝青会『今和次郎「日本の民家」再訪』、コリアー『収奪の星』、ウォルツァー『政治的に考える』、豊川『群像としての丹下研究室』、片岡『円のゆくえを問い直す』、山崎『瓦が語る日本史』、三橋『昆虫食文化事典』、西田『新しい刑務所のかたち』、冨田『ロシア宇宙開発史』、ソローキン『青い脂』、田崎『やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識』、三沢他編『電波・電影・電視』、関『東日本大震災と地域産業復興』、三浦『シビリアンの戦争』、『2012 年の三冊放出した本についてのコメント

2013

ドレズナー『ゾンビ襲来』、カヴァン『アサイラム・ピース』、鈴木『なめらかな社会とその敵』&ヒース『ルールに従う』、その 1 万字ボツ版、グリック『インフォメーション放出した本についてのコメント



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YAMAGATA Hiroo (hiyori13@alum.mit.edu)