【9月15日 AFP】フランス上院は14日、顔をすべて覆うベールを公共の場所で着用することを禁止する法案を賛成多数で可決した。同法は、仏憲法裁判所の憲法会議(Constitutional Council)の審査で違憲とされない限り、来年初頭には施行される。

 法案は仏上院(定数577)で246票の賛成多数で可決された。下院を7月に通過しており、次は憲法会議による審査となる。違憲審査は1か月以内に行われる。

 この法案はイスラム教徒に言及してはいないが、ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)政権は、イスラム教徒の衣装であるブルカやニカブの着用の強要から女性を保護する手段であるとして法案成立を推進してきた。

 施行後は、まず6か月間の「教育」期間が設けられ、顔を覆うベールを着用している女性たちに、公共の場所でベールの着用を続ければ逮捕されることを説明する。禁止法に従わなかった場合、150ユーロ(約1万6000円)の罰金または市民権講座の受講を義務づける。また、女性にベール着用を強要した男性には、3万ユーロ(約300万円)の罰金と禁固刑を定めた。

 この法案に対しては、米国と国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の双方が非難している。バラク・オバマ(Barack Obama)大統領とアルカイダのナンバー2、アイマン・ザワヒリ(Ayman Al-Zawahiri)容疑者はともに、イスラム教徒への侮辱であると批判した。

 サルコジ大統領の禁止法案は議会で十分な得票数を獲得したといえるが、法案に反対する人びとは、フランスと欧州の人権法違反であると主張している。

 同様の法案はベルギーやスペイン、一部のイタリア地方自治体でも審議されている。しかし、フランスの都市の多くは、郊外に欧州最大規模のイスラム教居住区を抱えており、フランスでの禁止法成立は特に繊細な問題を抱えているといえる。(c)AFP/Frederic Dumoulin