韓国MERS

「情報足りぬ」九州悲鳴 年85万人来訪ゆえの〝不安〟

 「中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルス」の感染が、韓国で拡大し、社会不安が増大している。地理的に近い九州には、韓国から年間85万人もの旅行客が訪れるだけに、空港や港の関係者が緊張感を強める。「アジアの玄関口」として、人的交流が活発になれば、感染症のリスクも必然的に高まる。水際の防止策が欠かせない。(高瀬真由子)

「院内感染対策が不徹底」

 「韓国の症例は、医療機関における院内感染対策の不徹底等による」

 厚生労働省は1日、各都道府県や保健所を設置する自治体に向けて、MERSが疑われる患者が発生した場合の対応や院内感染対策を徹底するよう通知した。

 韓国保健当局は2日までに、感染者と接触した人ら約750人を、自宅や医療機関に隔離している。

 厚労省の通知を受け、自治体も動いた。7カ所の保健所を運営する福岡市は、市医師会や指定医療機関などと対応方法を確認した。

 厚労省が示した手順によると、MERSに感染した疑いのある患者を確認した場合、保健所職員は患者や医師らへの聞き取りをする。さらに必要があれば詳細な調査を実施し、感染の有無を判定する。

 福岡市保健予防課の衣笠有紀課長は「福岡はアジアの玄関口として韓国との距離も近く、慎重に対応する必要がある。ただ、どの程度の接触で感染するかなど、情報が足りない。情報収集を進め、医療機関などへ周知に努めたい」と語った。

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